戦時期中国の経済発展と社会変容

『日中戦争の国際共同研究』(第5巻)に寄せて
総論・戦時期中国の経済発展と社会変容 久保亨・波多野澄雄・西村成雄
第1部 戦時経済の発展と継承
第1章 戦時中国の工業発展 久保亨 はじめに 一 重慶政府による鉱工業統計 二 重慶政府統治地域の鉱工業 三 中国戦時経済の全体像 四 戦時経済から戦後経済への展開 おわりに
第2章 日中戦争と重慶銀行業 林幸司 はじめに 一 近代重慶における経済状況 二 重慶における銀行公会の設立 三 日中戦争と重慶銀行業 おわりに
第3章 抗戦期中国の保険業 劉志英(林幸司訳) はじめに 一 抗戦期大後方保険業の発展概況 二 抗戦期大後方保険業の主な業務 三 抗戦期大後方保険業の特徴とその役割
第4章 戦時期中国の貿易 木越義則 はじめに 一 戦時期中国の貿易行政 二 戦時期中国の対外貿易の推計 三 戦時期中国の対外貿易の実勢 おわりに
第5章 戦時首都・重慶市の市内交通網 内田知行 はじめに 一 市内交通網の概況 二 市内自動車交通事業 三 市内道路交通(軽車両による交通・運輸事業) 四 市内舟運事業 おわりに
第6章 抗戦期四川の製糸金融と製糸業 趙国壮(吉田建一郎訳) はじめに 一 後方製糸業の危機と四川糸業股份有限公司の設立 二 四川糸業股份有限公司の資金調達と経営 三 四川糸業股份有限公司の努力と後方蚕糸業の改良 四 戦時金融と後方蚕糸業の発展 おわりに
第7章 抗戦期重慶の工場間労働移動 耿 密(菊池敏夫訳) はじめに 一 労働者の移動の概況 二 労働移動に関する個別事例の検討 三 国民政府の対応と措置 四 社会各界の認知と対応 おわりに
第8章 戦争初期日中両国と上海租界経済 今井就稔 はじめに 一 日本占領地と上海租界 二 重慶国民政府と上海租界 おわりに
第9章 日本の華北支配と開灤炭鉱 吉井文美 はじめに 一 開灤炭鉱とイギリス人 二 国民政府との離別 三 日本と開灤炭鉱 おわりに
第2部 変容する社会体制
第10章 中国の総力戦と基層社会 笹川裕史 はじめに――日中戦争・国共内戦・朝鮮戦争 一 総力戦による基層社会の混乱と変容 二 出征兵士家族の救済・援護 三 労働力支援の進展とその行方 おわりに
第11章 蔣介石と総動員体制の構築 段瑞聡 はじめに 一 蔣介石の総動員理念の形成と特徴 二 総動員に関わる諸機関の変遷 三 総動員設計委員会の成立、改組と解散 四 不発の「総動員法」と「総動員計画大綱」 五 国家総動員会議の成立と総動員体制の確立 おわりに
第12章 戦時中国の憲法制定史 中村元哉 はじめに 一 近現代中国憲政史の中の“戦時中国の憲法制定史” 二 国民参政会憲政期成会の憲法草案修正意見と自由・権利の保障 三 憲政実施協進会の憲法草案意見書と自由・権利の保障 おわりに
第13章 戦国策派と中国の民主主義 水羽信男 はじめに 一 戦国策派について 二 戦国策派の民主主義論の位相 ――林同済・雷海宗の議論を中心として 三 戦国策派の個人主義の位相 ――陳銓・沈従文の議論を中心として おわりに
第14章 戦時国民党政権の辺疆開発政策 島田美和 はじめに 一 戦時辺疆政策の転換 二 戦時における辺疆工作人員 三 辺疆工作人員の応募者 四 辺疆工作人員の合格者 おわりに
第15章 日中戦争と華北の日本居留民 小林元裕 はじめに 一 日中戦争の勃発と北平の日本居留民 二 日中戦争の勃発と天津の日本居留民 三 日中戦争の全面化と天津での戦闘 四 日本居留民の「銃後」 おわりに
第3部 日中戦争史研究の新地平
第16章 抗日戦争の新たな歴史像の模索 ハンス・ヴァン・デ・ヴェン(李仁哲訳) はじめに――抗日戦争研究の課題 一 戦争勃発と近代戦の破綻 二 新たな戦法の模索 三 共産党の人民戦争論 四 日本軍の「一号作戦」 おわりに
第17章 日中戦争と興亜院の歴史的位置 加藤陽子 はじめに 一 日中戦争の性格 二 興亜院の性格 三 内閣による統制 おわりに
第18章 重慶爆撃死傷者数の調査と統計 潘 洵(柳英武訳) はじめに 一 戦時と戦後に行われた死傷者数の調査・統計 二 戦時期の文書史料に基づく爆撃死傷者数 三 死傷者数の調査・統計に影響を与える諸要因
あとがき 編者一同 日中関係改善のための提案 エズラ・F・ヴォーゲル
編者・執筆者紹介/訳者紹介 索引
|