日本帝国勢力圏の東アジア都市経済
はしがき
序章 本書の目的と東アジア都市史研究の動向 柳沢遊・木村健二・浅田進史
第1節 日本植民地都市史研究と東アジア都市史研究の交差 第2節 「日本帝国勢力圏」都市史の視角 第3節 比較軸と本書の構成
第T部 戦間期の都市経済の諸相
第1章 永登浦工場地帯の形成と日系企業の集積 金明洙
はじめに 第1節 朝鮮工業化以前の永登浦工業と立地条件 1 1910年代の永登浦工業 2 1920年代の永登浦工業 3 永登浦の工場立地条件 第2節 1930年代における大工場の林立と永登浦工場地帯の形成 1 永登浦工場地帯形成の背景 2 永登浦工場地帯形成の開始 ――朝鮮・昭和麒麟麦酒工場の建設 3 永登浦工場地帯形成の本格化 ――日本3大紡績会社の工場設立 おわりに ――1930年代における朝鮮工業化と永登浦工場地帯の形成
第2章 植民地下の京城における「中小商業問題」の展開 平野隆
はじめに 第1節 戦間期の京城における小売業の概観 1 京城の人口と就業構造 2 商業者の団体 3 京城の商店街 4 近代的小売業態の登場 第2節 「中小商業問題」の推移 1 中小小売商と近代小売業態の摩擦の顕在化 ――1926〜29年 2 商業(商工)会議所による中小商店経営改善政策 ――1930〜32年 3 「中小商業問題」の小さなピーク――1932〜34年 4 百貨店委員会の設置――1935〜38年 おわりに
第3章 植民地期開城における韓国人商権とその特徴 梁晶弼(金明洙訳) はじめに 第1節 朝鮮時代の開城と開城商人 第2節 開城商人の商権維持と日本商人の不振 第3節 開城の経済力とその特徴 おわりに
第4章 長春から新京へ――「満洲国国都」の膨張と工業化 山本裕
はじめに 第1節 新京前史――1920年代の長春 1 長春の地理的特性 2 1920年代の長春における工業化方策の推移 第2節 「国都」新京の形成と「工業化」――1932〜36年 1 満洲国創出後における都市環境の変化 ――新京を中心に 2 新京における「国都」建設ブームの実態 3 当該期新京における工業化の展開 第3節 「国都」形成ブームの終焉と「工業化」――1937〜41年 1 新京における当該期工業化の展開 2 新京における各種産業の動向と「工業化」を阻む諸要因 おわりに
第U部 日中戦争下の都市経済の変容
第5章 工業都市大連の形成過程 柳沢遊
はじめに 第1節 大連市企業の位置 第2節 日中戦争期までの大連工業の概観 1 満洲事変までの大連工業 2 「満洲国」建国期の大連商工業 第3節 日中戦争前期の関東州工業――1937〜39年 第4節 工業用地造成と関東州工業への期待 第5節 1940年代前半の関東州工業の発展――1940〜43年 おわりに――関東州工業の到達点とその矛盾
第6章 戦時下蔚山工業都市計画と油蔚航路 木村健二
はじめに 第1節 背景 1 戦時体制の進行と釜山港の拡充 2 朝鮮半島南岸の開発計画 3 蔚山側の背景 第2節 蔚山都市創設推進機関と推進主体 1 推進機関 2 推進者・池田佐忠の事業 第3節 蔚山工業都市計画と油蔚航路計画 1 池田の工業都市創設構想と具体的内容 2 油蔚航路と油谷湾開発計画 おわりに
第7章 「満洲国」期における奉天の工業化と中国資本 ――機械器具工業の分析を中心として 張暁紅
はじめに 第1節 奉天の工業化と機械器具工業 1 奉天の発展 2 重化学工業化と機械器具工業の発展 3 奉天における機械器具工業の生産状況 第2節 中国資本の特徴およびその変容 1 中国資本の特徴 2 下請工場としての中国資本 3 統制の破綻と中国資本 おわりに
第8章 日本占領下の済南経済――日本資本と中国資本に着目して 張楓
はじめに 第1節 占領下済南における日本資本の進出と中国資本の実態 1 日本資本の進出 2 中国資本の実態 第2節 日本占領下済南における工業構造の再編 1 占領以前の工業構造 2 占領下の工業構造 第3節 占領下中国資本工場の自発的な生産活動 1 織布業 2 染織業 おわりに 第9章 日中戦争期の青島経済――日本占領の経済的衝撃 浅田進史
はじめに 第1節 日本の第二次青島占領 1 占領以前の青島経済 2 日本の青島再占領 3 都市の膨張 第2節 戦時下の青島港の物資流通の変容とその衝撃 1 青島港の物資流通の「拡大」 2 世界経済から「日満支ブロック」・「大東亜共栄圏」へ 第3節 青島日本商工会議所の時局診断 1 占領直後から第二次世界大戦へ 2 対米開戦と対華中貿易への回帰 おわりに
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