近世庚申塔の考古学
序章 近世庚申塔研究の目的 1 歴史学としての近世庚申塔研究 2 近世庚申塔とは何か 3 庚申塔のもつ多様な資料性 4 庚申塔による歴史復元の可能性
第1章 既往研究の概要と視座 1 石造物研究の歩みと近世石造遺物 2 戦前期における庚申塔研究 3 戦後期における庚申塔研究 (1) 敗戦から高度経済成長期(戦後期T) (2) 高度経済成長期以後〜現在(戦後期U) 4 近世庚申塔研究の視座 (1) 近世石造遺物の実践的研究事例 (2) 庚申塔研究における考古学的視座の有効性 (3) 庚申塔研究の見取り図
第2章 石塔形態に対する型式学的分析 1 問題の所在 2 分析方法の検討及び資料の集成 (1) 型式学的分析の意義と問題点 (2) 対象地域の選定 (3) 近世庚申塔の型式設定 (4) 分析項目の設定と分析の前提 3 東京都区部における型式学的分析 (1) 東京都区部の庚申塔に対するセリエーション分析 (2) 東京都区部のセリエーション分析の要約 4 東京周辺地域の庚申塔に対する型式学的分析 (1) 対象地域の選定と庚申塔の類型設定 (2) 東京周辺地域の庚申塔に対するセリエーション分析 (3) 庚申塔の流行型式にみる地域差 5 石塔形態に対する考古学的分析の要約
第3章 近世庚申塔の主尊に対する考古学的分析 1 問題の所在 2 庚申塔の像容に対する定量的分析 3 像容に対する定量的分析の要約 4 像容と石塔型式の関係性 (1) 主尊および石塔型式の組み合わせとその変遷 (2) 主尊と像容の史的変遷の要約 5 結語
第4章 近世庚申塔にみる施主名称の史的変遷 1 問題の所在 2 庚申塔の施主分析の研究史 (1) 竹内利美による施主分析 (2) 庚申塔と村落史研究 3 近世庚申塔の施主名称の概要と集成 (1) 施主名称の定義 (2) 施主名称の種類と分析における問題点 (3) 資料の集成方法とその数量的分析の妥当性 4 施主名称の定量的分析 (1) 施主名称の定量的分析 (2) 施主分析の結果の要約 (3) 庚申塔造立者の分類と時期区分 5 庚申塔研究による近世村落史への接近 (1) 施主名称にみる「集団」と「個人」の関係 (2) 近世前期の施主名称の多様性 (3) 庚申塔による集団関係復元への見通し
第5章 近世庚申塔にみる造立期日銘の検討 1 問題の所在 2 東京都区部の造立月銘の計量的分析 3 造立日の計量的分析と庚申日との関係 4 結語
第6章 武蔵国荏原郡馬込村の庚申塔施主 1 問題の所在 2 馬込村の支配関係と地理的環境 (1) 馬込村の支配関係 (2) 馬込村の地理的環境 3 馬込村の庚申塔 (1) 馬込村の庚申塔の概要 (2) 庚申塔施主の人物特定の前提 (3) 享保5年庚申塔の施主 4 寺郷谷の天保11年庚申塔にみる施主の社会関係 (1) 天保11年庚申塔の概要 (2) 庚申塔施主の人物の特定 (3) 庚申塔施主の社会関係・家族構成 (4) 庚申塔施主の土地所有状況 5 結語
第7章 近世庚申塔造立習俗の展開と村落社会の変化 1 問題の所在 2 流行型式の普及と運輸機構の整備 (1) 庚申塔の普及にみる地域差と石工の動向 (2) 利根川の整備と庚申塔の普及 3 近世前期の庚申塔増加の背景―青面金剛と講中― (1) 庚申塔の造立数の増加と青面金剛 (2) 青面金剛の主尊化 (3) 青面金剛の主尊化と石塔形態 4 庚申塔造立習俗の普及と村落社会 (1) 小農自立と村の成立 (2) 新田の開発と小名集落 (3) 近世村の成立と庚申塔造立習俗の普及 5 結語
第8章 近世後期の庚申塔にみる石造遺物の盛衰 1 問題の所在 2 庚申塔の減少と造立目的の多様化 (1) 近世庚申塔の減少の背景 (2) 新規庚申塔の造立禁止と石塔規模の変化 (3) 村中銘の増加 (4) 石橋供養の庚申塔 (5) 道標銘のある庚申塔 3 近世後期の富士信仰の流行と庚申信仰の変化 (1) 富士信仰の隆盛と庚申信仰 (2) 不二道の活動と百庚申 4 庚申塔にみる石塔文化の盛衰と近世村落社会 (1) 近世後期の「石碑文化」 (2) 再建銘のある庚申塔 5 結語
終章 近世庚申塔研究の地平
跋にかえて 文献目録 索引
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