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目次
被爆者調査を読む
A5判/上製/316頁
初版年月日:2013/03/30
ISBN:
978-4-7664-1956-6
 
(4-7664-1956-1)
Cコード:C3036
税込価格:4,180円
被爆者調査を読む
―ヒロシマ・ナガサキの継承

目次

はじめに  浜 日出夫

第1章 戦後被爆者調査の社会調査史  有末 賢

 はじめに
 一 戦後社会科学と社会調査
 二 被爆者調査の戦後史
 三 慶應義塾大学と原爆調査――米山桂三・中鉢正美・川合隆男・原田勝弘
 四 厚生省昭和40年調査――中鉢正美グループと石田忠グループ
  1 中鉢正美グループ
  2 石田忠グループ
 五 R. J. リフトンによる心理学的分析
 六 90年代以降の記憶をめぐるポリティックス
 七 記憶の表象と場所性
 おわりに―――社会調査と被爆者の声

第2章 中鉢正美「生活構造論」の展開と二つの「被爆者生活史調査」  竹村 英樹
 はじめに
 一 被爆者調査以前──生活構造論の形成まで
  1 生物学から経済学へ
  2 家計研究から生活構造論へ
 二 二つの「事例調査」―─被爆者調査における「生活史調査」の試み
  1 「66年事例調査」実施の経緯
  2 出発点としての「66年事例調査」
  3 被爆者生活の構造と社会階層
    ――「66年事例調査」から「75年事例調査」へ
 三 「中鉢正美原爆関係資料」から「事例調査」を読み直す
  1 「中鉢資料」の概要
  2 「66年事例調査」および「75年事例調査」の関係資料
  3 生活史調査の作品化――未公表原稿「広島のある町、その被爆三〇年」
  4 証言活動や復元運動への応答――未公表原稿「被爆文化」
 四 中鉢正美の研究活動と被爆者調査の展開
 おわりに
  1 まとめ――各節の振り返り
  2 中鉢による「被爆者調査」の今日的意義

第3章 「長崎」をめぐる記憶の回路
     「企業と原爆」調査の検討を中心に  高山 真
 はじめに
 一 長崎原爆調査における「企業と原爆」の位置と意義
  1 「長崎」を語ることの困難
  2 「浦上」、「三菱」そして「死者」という3つの問題領域
 二 被爆者カテゴリーの無効化
 三 『原爆前後』をめぐって
 結びにかえて

第4章 爆心地復元調査が描いたコミュニティ
     湯崎稔と集団参与評価法  松尾 浩一郎
 一 社会踏査の系譜と湯崎稔
  1 社会調査の1960年代
  2 湯崎稔と原爆研究・被爆者研究
  3 中山町での追跡調査
  4 中山町調査から爆心地復元調査へ
 二 地図上にまちを復元する――調査者としての市民
  1 NHKとの連携の成立
  2 復元地図づくりと死者とのつながり
  3 集団参与評価法
  4 『原爆爆心地』への結実
 三 爆心地復元調査の拡大と挫折
  1 市民運動としての高揚
  2 NHKとの連携関係の解消
  3 行政事業化と調査の変質
 四 考察――社会踏査の可能性
  1 市民的立場と社会調査
  2 点から面へ――時間・空間・場所

第5章 慰霊行為としての原爆被災復元調査
     長崎市民・行政による爆心地復元調査活動のはじまりとその展開  深谷 直弘  
 はじめに
 一 爆心地復元運動から原爆被災復元調査へ
 二 原爆被災復元調査の概要と調査プロセス
  1 問題意識と目的
  2 調査項目と調査の進め方
  3 調査プロセスと爆心地復元の困難――活動初期の取り組みから

 三 慰霊行為としての爆心地復元調査活動
 四 被爆者調査史の中の長崎爆心復元調査
    ――広島復元調査・一橋大原爆被害調査との比較から
  1 長崎方式と広島方式
  2 一橋大学グループの調査との比較
 おわりに

第6章 原爆問題と被爆者の人生に関する研究の可能性
      R.J.リフトンのヒロシマ研究とそれに対するさまざまな反応をめぐって  八木 良広
 はじめに
 一 R. J. リフトンのDeath in Life
  1 被爆者の「心の傷」研究としてのDeath in Life
  2 リフトンの広島との出会い
  3 Death in Life の概要
 二 リフトンは被爆者の現実を無視したのか
  1 Death in Life に対する様々な反応
  2 被爆者は「生きる屍」か
 三 リフトンのヒロシマ研究からの示唆
  1 Death in Life のその後
  2 「ヒロシマ博士」と「われわれ意識」
 おわりに

第7章 広島修道大学「被爆体験」調査における〈生者と死者〉
     死者と向き合う二つのあり方  木村 豊
 はじめに――問題の所在
 一 『生者と死者』 再考
  1 メモリアル・デーの〈生者と死者〉
  2 メモリアル・デーの〈時間―空間〉関係
  3 『生者と死者』へのある書評
 二 広島の〈生者と死者〉
  1 ヒロシマの〈生者と死者〉
  2 ヒロシマの〈時間―空間〉関係
  3 二つの〈生者と死者〉
 三 東京から広島へ
  1 東京の〈生者と死者〉
  2 広島の〈生者と死者〉再考
 おわりに 

第8章 被爆体験をめぐる調査表現とポジショナリティ
     なんのために、どのように表現するのか  小倉 康嗣
 一 被爆者調査のむずかしさ
 二 被爆体験の構築と表象をめぐる格闘
  1 被爆者の立場に立って飛躍する――石田忠・一橋大学グループ
  2 生活構造として表現することの葛藤――中鉢正美・慶應義塾大学グループ
  3 被爆者市民の協働を媒介する――爆心復元調査
 三 陳腐化・風化への抗い
  1 知の性質への着目による脱構築――米山リサ
  2 身体に生起する亡霊=トラウマの感染との対話――直野章子
 四 関わりの構築へ
  1 体験することの生成と連鎖――高校生が描く原爆の絵
  2 社会科学者はどこに立ち、なにをすべきなのか

結びにかえて――「われわれはすべてヒロシマの生存者である」  浜 日出夫


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