数量経済史の原点
―近代移行期の長州経済

編者はしがき
第I部 数量経済史への視座 第1章 数量経済史事始――QEH25年私記 1 はじめに 2 『防長風土注進案』と長州のプロト工業 3 1840年代長州の《経済表》 4 19世紀後半の長州・山口県――工業化の挫折?
第2章 《経済表》と経済発展――幕末防長の地域経済表 1 投入・産出表化した経済表 2 ケネー経済の発展 3 1840年代の地域経済表 3.1 美弥・経済表 3.2 三田尻・経済表 3.3 前山代・経済表 4 残された課題
第II部 地域経済の変容 第3章 長州・山口県の産業発展 1 注進案(1840年頃)と物産表(1874年) 2 人口1人あたり物産高――1840〜74年 3 1909年物産高の推計と1874〜1909年の間の1人あたり物産高の成長 4 緩慢な工業化とその原因
第4章 18-19世紀における長州のプロト工業化 1 人口増加と経済成長 2 3つのプロト産業 2.1 製紙業 2.2 木綿織 2.3 製塩 3 上関と三田尻の場合 4 19世紀後半の非工業化
第5章 18-19世紀における長州藩の宰判別人口増加 1 18-19世紀の趨勢とその屈折 1.1 幕府人口調べ 1.2 地下上申から注進案まで 1.3 戸籍帳による補完 2 戸籍増減,平均世帯規模の上昇 3 人口の増加と停滞――その説明 3.1 生産力の拡大 3.2 非農所得の比重と1人あたり可処分所得 3.2 地域分業と地域間流動
第III部 消費と教育投資 第6章 移行期の長州における穀物消費と人民の常食 1 序説 2 移行期における長州 3 穀物の出来高と供給――1840年代と1887年 4 注進案における1人あたり穀物消費量 5 農間余業・非食支出ならびに米市場 6 穀物消費および栄養価の変化 7 兵食データとの比較検討 8 「人民常食比例」データとの比較 9 結論 付録――種子・酒造米の推計
第7章 寺子屋・私塾の経済学 1 その数と分析 2 幕末期におけるその急増 3 就学率の推計 4 注進案による傍証――授業料 5 ささやかだが“大いなる遺産”
第IV部 西川経済史学の評価と展望 第8章 日本経済史の視点 8.1 所得勘定体系と消費 (尾関 学) はじめに――橋を架けること 1 KEOの実証経済学と経済史 2 勘定体系の重要性――国民経済計算と『防長風土注進案』 3 食糧カロリー摂取量の推計――徳川から明治への移行期について おわりに――西川の架けた橋 8.2 移動と労働市場 (攝津 斉彦) 1 はじめに 2 長州の労働市場 3 近代日本の労働市場 4 長州の労働市場,ふたたび 5 おわりに
第9章 開発経済学の視点――過剰就業論を題材として (原 洋之介) 序――本章の課題 1 西川による過剰就業の実証の変遷 1.1 大川の過剰就業論 1.2 過剰就業の存在の実証――農業労働限界生産力と生存水準との比較 2 西川の議論を巡る若干の論点 2.1 労働投入データ 2.2 農業限界生産力と比較されるべき賃金とは 2.3 農家過剰就業論のエッセンス 2.4 ルイス・モデルとは 3 経済史と地域研究的開発経済学
第10章 産業連関分析の視点――推計と解釈 (斎藤 修) はじめに 1 産業連関表あるいは《経済表》 1.1 最初の問題意識 1.2 改訂の軌跡 2 19世紀経済の産業連関表 2.1 長州13部門表の投入係数 2.2 他の産業連関表との比較 3 経済史研究における産業連関表構築の意義
第11章 福沢研究の視点――経済学・経済史との架橋 (牛島 利明) 1 福沢研究者としての西川 2 福沢諭吉の経済論――通貨論をめぐって 2.1 エコノミスト福沢の独創性と経験主義 2.2 「時評」としての経済論 3 福沢諭吉の経営論――慶應義塾と時事新報社 3.1 福沢と事業経営 3.2 慶應義塾の経営問題 3.3 時事新報社社主としての福沢 4 おわりに
補章 数量経済史研究会事始――西川俊作氏ヒアリング要旨 (尾高煌之助 編) 1 事始のことはじめ 2 濫觴 3 事始 4 成長と拡大 5 長州の経済発展について
初出一覧 索引
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