大日本帝国の崩壊と引揚・復員

序 論 引揚・復員研究の視角と終戦史の見直し 増田 弘 第1章 大日本帝国の崩壊と残留日本人引揚問題 ――国際関係のなかの海外引揚 加藤 聖文 はじめに T ポツダム宣言受諾と現地定着方針 1 ソ連の対日参戦/2 現地定着方針の決定/3 引揚者対策の決定/ 4 現地定着方針の背景/5 満州における状勢悪化 U 東久邇宮内閣と残留日本人引揚問題の迷走 1 東久邇宮内閣成立の背景/2 重光外相との路線対立/3 対ソ交渉ルートの 途絶/4 GHQ指導下の引揚体制確立 V 米国の対中政策転換と残留日本人引揚の実現 1 USFCTによる送還計画/2 ソ連軍の満洲撤兵問題/3 米国の対中政策転換/ 4 全日本人送還の基本方針確定 おわりに
第2章 日本軍の武装解除についての一考察 加藤 陽子 はじめに T 武装解除をめぐる攻防 1 東条英機/2 ポツダム宣言中の武装解除/3 バーンズ回答中の武装解除 U 昭和天皇と遼東還附の詔勅 1 講和を躊躇させたもの/2 8月10日の「聖断」/3 8月14日の「聖断」/ 4 遼東還附の詔勅/5 『昭和天皇独白録』中の武装解除問題 V アメリカのジレンマ 1 無条件降伏論のくびき/2 さまざまなシグナル/3 ビラでの呼びかけ/ 4 情報戦/5 南原繁と高木八尺 W 実際の武装解除過程 1 池田純久/2 8月14日の閣議決定/3 実行の指示書/4 連合国方針の 徹底/5 終戦犯罪 おわりに
第3章 大陸引揚者と共産圏情報――日米両政府の引揚者尋問調査 佐藤 晋 はじめに T 進駐直後の情報要求 U 前期集団引揚と尋問調査 V 尋問からの「収穫」 W 日本側の協力態勢 X 朝鮮戦争におけるインテリジェンスの失敗 Y 日本政府の引揚者調査 おわりに
第4章 中華人民共和国の日本人「戦犯」処理――裁かれた「帝国」 大澤 武司 はじめに T 不完全なる「敗者の帰還」 1 撫順組「戦犯」の誕生/2 太原組・西陵組「戦犯」の誕生 U 認罪と「帝国」 1 撫順組「戦犯」の認罪過程/2 太原組「戦犯」の認罪過程 V 「戦犯」の帰還 1 西陵組「戦犯」の帰還/2 「戦犯」裁判への道/3 「戦犯」裁判における「帝国」 おわりに
第5章 朝鮮半島からの引揚と「日本人世話会」の救護活動 ――朝鮮総督府・京城帝国大学関係者を中心に 永島 広紀 はじめに T 民間人の引揚開始と「京城日本人世話会」 U 事務局長・金子定一の去就 V 「在外同胞援護会」・「聖福病院」・「二日市療養所」 W 『京城日本人会会報』発行のあとさき X 京城日本人世話会と森田芳夫 おわりに
第6章 ラバウルからの日本軍の復員過程 増田 弘 はじめに T 終戦の過程 1 終戦以前の状況/2 玉音放送/3 今村司令官の決断/ U 連合国(豪軍)への降伏過程 1 オーストラリア軍への降伏/2 降伏調印式/3 オーストラリア軍の上陸 V 第8方面軍の解体と抑留過程 1 日本軍の武装解除/2 強制収容所生活の開始/3 戦犯裁判/ 4 炎天下の強制労働 W 帰還準備と復員過程 1 復員の準備体制/2 日本本土の復員受入れ準備/3 遺骨の送還/ 4 復員の繰り上げと完了 おわりに
第7章 遺骨の帰還 浜井 和史 はじめに T 復員・引揚にともなう遺骨の帰還 1 遺骨が帰還するまで/2 「帰らぬ遺骨」をめぐって/3 遺骨収容問題の「発見」 U フィリピンからの遺体(遺骨)の送還(1949年) 1 「静かな帰還」/2 忘れられた「釜墓地」と「帰らなかった」遺骨 おわりに
参考文献リスト あとがき 索 引
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