現代日本の産業集積研究
実態調査研究と論理的含意

はじめに 本書でとりあげる地域 初出一覧
序 章 東アジア化とは何であったか――構造変化の統計的確認 1 はじめに 2 1990年代構造変化の実態 3 既存統計から示唆されるいくつかの論点 4 構造変化、東アジア化とは、東アジア大の地域分業生産体制の構築
第1章 1990年代半ばまでの国内機械工業集積調査研究の産業集積論への示唆 ――京浜地域・日立地域・諏訪地域を中心に 1 はじめに 2 各産業集積の独自な存立形態と市場環境 3 産業集積の地理的広がりと集積の経済性 4 集積の経済性と一般的立地条件 5 集積地域間競合と一般的立地条件の差異を踏まえた集積の経済性
第2章 機械工業の多様な集積の錯綜のもとでの多数企業の存立 ――岡山県内の機械工業企業群の分析 1 はじめに 2 統計と既存資料を利用した概括的分析 3 事例による存立状況と発展展望の分析 4 岡山県の機械工業の調査研究が示唆する産業集積論hへの含意
第3章 企業誘致で形成された産業集積の縮小と新たな展望 ――岩手県機械・金属産業企業群の変貌と中小企業の存立展望 1 はじめに 2 岩手県の機械・金属産業の概観と誘致工場の状況 3 事例を通して見た岩手県立地の機械・金属産業中小企業の存立状況 4 小括――事例が示唆すること 5 岩手県の機械工業調査研究が示唆する産業集積論への含意
第4章 誘致工場と機械・金属産業集積の新たな形成 ――熊本県の事例を中心に 1 はじめに 2 工業統計表の数字から見た熊本県の状況 3 調査事例の類型的整理 4 調査事例から見た誘致工場の存立展開状況と熊本県立地工場の位置づけ 5 熊本県の誘致工場関連の調査中小企業 6 新たな九州広域機械工業圏の形成の中での熊本の機械・金属産業発展把握の必要性 7 小括――統計と事例についての検討が示唆すること 8 産業集積論への示唆
第5章 国内産地型産業集積の解体と産地企業の展望 ――堺の自転車部品産業集積を例に 1 はじめに 2 事例企業の新たな展開類型と事例紹介 3 小括――堺の事例の示唆するもの 4 日本の産業集積論への示唆
第6章 中国の産業発展の中での機械・金属産業関連産地型産業集積の転態 ――燕の産業集積の発展可能性 1 はじめに 2 中国製造業の競争力 3 日本国内生産が可能性を持つ部分はどこか 4 実際に燕の地域産業集積を例にとり、事態の進展はどうなっているかを見る 5 中国と燕の状況が国内産業集積の今後に対し示唆すること 6 燕の地域産業集積としての発展展望が示唆すること
第7章 中小企業の存立条件と産業集積の変化 ――アパレル製品産地に見る産地型産業集積の有効性と意義の変化 1 はじめに 2 事例企業が立地する産地型産業集積の概観 3 国内完結型生産企業事例 4 東アジア分業型生産企業の事例 5 事例を通して明らかにされた論点 6 アパレル産業の国内企業事例からの日本の産業集積論への示唆 7 小括 8 政策的含意
第8章 デジタル化技術と社会的分業構造の変化 ――巨大都市東京の印刷業中小企業の構造変化 1 国内製造業の構造変化要因としてのデジタル技術変化の重要性 2 これまでの大都市型印刷業のあり方とそこでの中小企業の存立形態 3 デジタル化がもたらす社会的分業構造の変化を示唆する事例 4 小括 5 大都市印刷業のデジタル化が産業集積に示唆するもの
終 章 (日本の)産業論・中小企業経営論視座からの産業集積論の論理的枠組み 1 日本国内産業集積がおかれた状況 2 産業論にとっての産業集積の経済性の位置 3 産業集積内立地の企業の競争力の要素としての産業集積分析のための枠組み 4 実態調査結果が示唆する、産業集積に関わるその他の論点 5 集積内企業の競争力の要素としての産業集積分析のための枠組み 6 筆者の提示した産業集積分析のための枠組みの政策的含意
付論1 A.マーシャルとA.ヴェーバーの産業集積論の射程 ――産業論研究での論理的枠組みとしての限定性
付論2 『中小企業白書』に見る産業集積論把握の論理的枠組み ――1992年から2010年にかけての白書における産業集積 1 はじめに 2 各年版の『中小企業白書』での「集積」ないし「産業集積」の扱いとその意味 3 白書の採用している論理的枠組み
付論3 産業論・中小企業競争論視座から見た日本での産業集積研究レビュー ――産業集積についての絶対視論と相対視論 1 はじめに 2 共通要素確認論 3 集積絶対視論のいくつかの例 3 集積絶対視と集積相対視の中間にある諸論議 4 集積相対視論の議論 5 集積相対視論としての筆者の論理的枠組み
あとがき 参考文献 索引
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