Contents
目次
わざ言語
A5判/上製/400頁
初版年月日:2011/03/31
ISBN:
978-4-7664-1804-0
 
(4-7664-1804-2)
Cコード:C3011
税込価格:3,850円
わざ言語
感覚の共有を通しての「学び」へ

目次

 はじめに――「わざ言語」と「学び」  生田久美子

第一部 「わざ言語」の理論
 第一章 「わざ」の伝承は何を目指すのか――TaskかAchievement か  生田久美子
  はじめに
  1 「わざ」とは何か
  2 「傾向性(disposition)」としての「わざ」
  3 「わざ」のTask とAchievement とは何か
  4 様々な世界での「わざ」の伝承が目指すもの
  5 もう一つの「学び」――感覚の共有を通しての「学び」へ
  おわりに――教育における「わざ言語」の役割

 第二章 熟達化の視点から捉える「わざ言語」の作用
 ――フロー体験に至る感覚の共有を通した学び  北村勝朗
  はじめに
  1 スキルの獲得と「わざ」の習得
  2 熟達化から捉える「わざ言語」
  3 フロー体験から捉える「わざ言語」
  結語

 第三章 スポーツ領域における暗黙知習得過程に対する「わざ言語」の有効性
 ――動作のコツ習得過程において「わざ言語」はどのように作用しているのか  永山貴洋
  1 スポーツ領域における暗黙知と指導言語
  2 スポーツ領域における暗黙知の学習過程
    ――エキスパート選手は動作のコツをいかにして習得し、指導しているのか
  3 スポーツ領域における暗黙知学習に対する「わざ言語」の作用
  4 まとめと今後の課題

 第四章 「文字知」と「わざ言語」――「言葉にできない知」を伝える世界の言葉  川口陽徳
  はじめに
  1 「文字知」の陥穽――「わざ」と「言葉」の困難な関係
  2 言葉の可能性――陥穽を避ける様々な工夫
  まとめにかえて――「文字知」の陥穽を避ける「わざ言語」の役割

 第五章 「わざ言語」が促す看護実践の感覚的世界  前川幸子
  はじめに
  1 看護における「わざ」
  2 看護の「わざ」に見る相互主観的世界と〈私離れ〉
  3 「わざ言語」に導かれる看護実践
  4 看護学生に留まる「うずく傷」
  5 看護の「わざ」を教える・学ぶ
  6 非言語的な「わざ」言語
  おわりに

 第六章 看護領域における「わざ言語」が機能する「感覚の共有」の実際  原田千鶴
  はじめに
  1 「わざ言語」に導かれる「感覚の共有」
  2 価値を共有する学び
  3 仲間と学び合う
  4 異質の共同体との出会いにおける看護の再発見
  おわりに

 第七章 人が「わざキン」に感染するとき  佐伯 胖
  1 「風邪ひかせのヤブ医者」物語
  2 「わざ」は「わざキン」病の症状か
  3 わざの「感染場」――「わざ」が生起し伝承される場
  4 「わざ言語」とは何か――「わざキン」世界の「わかり合い」

第二部 「わざ言語」の実践
 第一章 「歌舞伎」の「わざ」の継承と学び
 ――「役になりきる」ことに向って  五代目 中村時蔵(聞き手 生田久美子)
  1 自らの「学び」を振り返って
  2 「役になりきる」ということ
  3 「書かない」ことを通しての「教える」と「学び」
  4 台本と「書抜き」
  5 国立劇場の養成課での「教え」と「学び」

 第二章 しむける言葉・入り込む言葉・誘い出す言葉
 ――創作和太鼓の指導実践から  佐藤三昭(聞き手 川口陽徳)
  1 創作和太鼓と作曲――小説や詩を書くように曲を作る
  2 「太鼓の技術の指導」と「曲のイメージの共有」――イメージができると音が変わる
  3 思考にしむける「謎」――師匠のイメージに弟子が自ら至るように
  4 和太鼓奏者としての日常生活――日々の過ごし方が演奏に影響する
  5 「基礎的な仕方」から「演奏表現の技術」へ
    ――「へそを真下に落とすように」、「ぬかるんだ道を歩くように」
  6 二つの言葉――弟子の感覚に入り込む言葉、未知の感覚に誘い出す言葉
  7 言葉の選択、使わない言葉――「腕を伸ばしなさい」ではなく「天井から吊るされている」
  8 マニュアル化の限界――「演奏表現」はテキストで伝えることはできない

 第三章 感覚との対話を通した「わざ」の習得
 ――感覚人間としての陸上体験  朝原宣治(聞き手 北村勝朗)
  1 陸上競技との出会い
  2 感覚との出会い
  3 北京オリンピックでの感覚体験
  4 感覚に基づく指導法

 第四章 スピードスケート指導者が選手とつくりあげる「わざ」世界
 ――積み上げ、潜入し、共有する  結城匡啓(聞き手 永山貴洋)
  1 速く滑るための感覚を自分で追い求めた選手時代
  2 指導の前提には選手との積み上げがある
  3 選手の中に潜り込む
  4 頭の中のスケーターはどんどん速くなっていく
  5 形ではなく、運動の質を感じる
  6 いろいろな運動経験が感覚を鋭敏にする
  7 四つの自己観察を通して感覚を共有する

 第五章 「生命誕生の場」における感覚の共有  村上明美(聞き手 原田千鶴)
  1 「産もうとする力」、「生まれようとする力」を促す
  2 「仲間」としての迎え入れ
  3 説明できない「わざ」の世界への参入
  4 熟練助産師の「わざ」に「惚れる」
  5 「産む―生まれる」という日常の営みを助ける
  6 「産む―生まれる」場の一体感
  7 生命の導きにおける「美しさ」へのこだわり

  あとがき
  索引
ページトップへ
Copyright (C)2004-2024 Keio University Press Inc. All rights reserved.