日中戦争期中国の社会と文化

「日中戦争の国際共同研究」刊行にあたって 山田辰雄 まえがき エズラ・ヴォーゲル(平野健一郎訳)
総 論 日中戦争期、中国の社会と文化の変容 平野健一郎 はじめに 本巻の目的 1 日中戦争下の中国の社会と文化 2 本巻の構成 3 本巻の特徴と課題 おわりに
第1部 戦争と文化政策 第1章 抗戦期中国国民党の教育政策とその効果 金以林(馬越麻紗美訳) 1 戦時教育方針論争――「戦時教育も平時のように」 2 戦時教育救済措置 3 戦時教育改革とその成果 4 戦時教育統制下における『党下教育』の検討
第2章 学人抗争――抗戦期、北平文教界に対する国民党の組織活動 桑兵(後井隆伸訳) 1 北平・天津新聞への指導 2 華北文化教育教会 3 文史雑誌の編纂
第3章 日中戦争期、満洲国の宣伝と芸文――甘粕正彦と武藤富男 貴志俊彦 はじめに 1 日中戦争の勃発と宣撫宣伝機関の整理 2 芸文と宣伝の結合 3 太平洋戦争と「決戦芸文指導要綱」 おわりに
第4章 官営化・教育化・普及化――抗戦期大後方映画の発展と転換 汪朝光(青柳伸子訳) 1 官営映画製作の優越的な地位の確立 2 映画の社会的造成と教育的機能の強調 3 農村上映の推進による映画の普及 おわりに――抗戦期大後方映画の発展経路転換の意義
第5章 民衆の歴史物語(ポピュラー・ヒストリー) ――占領期上海におけるアヘン戦争の映画化 ポシェク・フ(鷲谷花訳) 1 2 3
第2部 戦争の中の社会活動 第6章 日中戦争期上海のコレラ予防運動 福士由紀 はじめに 1 日中戦争期上海におけるコレラの流行状況 2 上海防疫委員会の設立 3 同仁会の上海への進出と占領行政への関与 4 コレラ予防運動の展開 5 コレラ予防運動の深化と保甲制度 おわりに
第7章 日中戦争初期における上海難民問題の対処について 張建俅(三品英憲訳) はじめに 1 上海事変前後の戦場における救護と戦傷兵保護 2 上海難民の激増と新組織の対応 3 上海国際委員会の難民救助活動 結論 第8章 戦時中国の救済工作――国際紅十字会と世界紅卍字会の救済ネットワーク 小浜正子 はじめに――戦時救済問題と近代中国の公共性 1 中国紅十字会の戦時救済活動 2 世界紅卍字会の戦時救済活動 おわりに
第9章 日中戦争期中国の対米「国民外交」 土田哲夫 1 中国国民党の戦時対外宣伝 2 中国対米「国民外交」の開始 3 「日本の侵略に加担しないアメリカ委員会」の結成と中国 4 中国対米「国民外交」の成功とACNPJAの解消 おわりに
第3部 戦争と社会・文化変容 第10章 日本軍占領と地域交通網の変容――山西省占領地と蒙疆政権地域を対象として 内田知行 はじめに 1 華北・蒙疆の鉄道・道路「愛護村」 2 山東省占領地の道路建設 3 蒙疆政権の道路建設 おわりに
第11章 華北「治安強化運動」期における集合心性――1941―1942年 江沛(薮田麻夕子訳) 1 日本軍――集団的残虐性、疎外およびその多様性 2 傀儡政権ポスト就任者――戸惑いと一時の安逸、そして二面性 3 平民――恐れと憎しみの交錯と多様性 4 八路軍、遊撃隊――不屈と希望、そして複雑性 むすび――民族主義と政治的言説を越えた視角
第12章 満州国首都「新京」の脱構築 ビル・シーウェル(斎川貴嗣訳) 1 背景 2 満州国の見せかけの革命 3 新京の構想 4 新京を展望する 5 新京を経験する 結論
第13章 満洲国の中国語文学におけるアヘン・中毒・ジェンダー ノーマン・スミス(高光佳絵訳) はじめに 1 満州におけるアヘン 2 満州における中国語文学世界 3 アヘン中毒の描写 4 結論 おわりに
第14章 抗戦期の郷村建設運動――失われた機会か、運命か、歴史か チャールズ・ヘイフォード(加藤公一訳) はじめに 1 郷村建設運動の意義 2 公民的専門家意識と中華民国 3 農村の発見と定県実験 4 抗日民族統一戦線における郷村建設運動 5 四川における平民教育運動 6 政府の庇護の下で 7 再び「姉共和国(ビッグ・シスター・リパブリック)」へ 8 「中国農村復興聯合委員会」 結論――失われた機会か、運命か、偶然か
あとがき 執筆者紹介 索引
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