原爆の記憶
ヒロシマ/ナガサキの思想

序 被爆から被曝、そしてヒバクへ ヒロシマ、ナガサキ、そしてヒバクシャ 「ヒロシマ」「ナガサキ」とは何か? 記憶とは何か? 現代社会史的な日本の「戦後」区分 「唯一の被爆国/被爆国民」という神話 本書の構成
第I部 軍都「廣島」「長崎」からヒロシマ/ナガサキへ 第1章 なぜ、広島と長崎が原子爆弾の投下目標となったのか? 広島のなりたち 長崎のなりたち 広島の近代都市化・軍事化 長崎の近代都市化・軍事化 軍都「廣島」 軍都「長崎」 昭和一六(一九四一)年一二月八日 マンハッタン計画 無差別爆撃と戦略爆撃 日本空爆から原爆投下まで まとめ
第2章 広島と長崎では何が起こったのか? 昭和二〇(一九四五)年八月六日午前八時一五分 昭和二〇(一九四五)年八月九日午前一一時〇二分 昭和二〇(一九四五)年八月一五日 原爆被害 熱線による被害――原子爆弾熱傷 医療や援護 原爆症認定制度 国連報告書 まとめ
第3章 広島と長崎はどのように想起/忘却されてきたのか? 原爆報道 米国の「原爆神話」 日本の「戦争被害受忍論」 戦後日米関係の「起源の物語」 「核の傘」という虚構 まとめ
第II部 日本のなかの「ヒロシマ」「ナガサキ」 第4章 爆心地を再生する――広島と長崎の戦後復興 「廣島平和記念都市建設法」と「長崎国際文化都市建設法」 広島平和記念公園 長崎平和公園 広島平和都市記念碑 長崎平和祈念像 広島市の取り組み 長崎市の取り組み 被爆地の現在 まとめ
第5章 歴史/物語を保存する――広島平和記念資料館と長崎原爆資料館 広島平和記念資料館 遺品の<かつて>と<いま> 写真の<かつて>と<いま> 展示構成の<かつて>と<いま> 長崎原爆資料館 遺品の<かつて>と<いま> 写真の<かつて>と<いま> 展示構成の<かつて>と<いま> まとめ
第6章 記憶を記念=顕彰化する――広島平和記念式典と長崎平和祈念式 「戦後」という時代区分 広島平和記念式典 長崎平和祈念式 平和宣言 日本政府の関心 内閣総理大臣の挨拶 まとめ
第7章 過去と物語・記憶を表象する――全国紙vs.地方紙 メディア・リテラシー ナショナルな「原爆の日」 ローカルな「平和記念日」 ナショナルなまなざし――全国紙のなかの「ヒロシマ」「ナガサキ」 ローカルなまなざし――地方紙のなかのヒロシマ/ナガサキ まとめ
第8章 原爆体験を思想化する――かつて、いま、そしてこれから 国家補償を求める被爆者運動 記憶の形象 原爆体験の思想化 積分(Σシグマ)の論理 核抑止論――「想話テクスト的な現象」 「人道に対する罪」の遡及性 まとめ
第III部 グローバル化のなかのヒロシマ/ナガサキ 第9章 検定歴史教科書のなかの原爆投下 記憶から歴史へ 国定教科書から検定教科書へ 原爆投下をめぐる教科書記述 検定「歴史教科書」という表象空間 戦後日本の平和教育 まとめ
第10章 「記憶の場」のなかの原爆体験 ヒロシマに学ぶ――広島平和記念公園とその周辺の記念碑や慰霊碑および詩碑から ナガサキに学ぶ――長崎平和公園とその周辺の原爆遺構から 取り壊された浦上天主堂と永久保存される原爆ドーム まとめ
結 論 原爆の記憶 原爆体験と被爆の記憶 ナショナルなア集団的記憶 グローバリゼーションと歴史認識 「核なき世界」への展望
あとがき 註 索引
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