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目次
海域アジア
A5判/上製/356頁
初版年月日:2004/06/30
ISBN:
978-4-7664-1044-0
 
(4-7664-1044-0)
Cコード:C3031
税込価格:3,740円
海域アジア

目次

総 論 関根政美・山本信人

第1部 海域アジアの国際関係

第1章 アジアにおける地域主義の展開
大庭三枝
はじめに
一 アジアにおける地域主義の沿革
1 自立への希求と冷戦の影
2 主体としての東南アジア地域形成を目指して
3 アジア太平洋地域の浮上とその背景
二 冷戦の終結と重層的地域主義の展開
1 冷戦のインパクトとアジア太平洋地域主義
2 ASEAN協力の深化と拡大
3 東アジア地域主義の萌芽とその背景
三 さらなる重層化の進行
1 アジア通貨危機の衝撃と新たな潮流
2 ASEAN +3の限界とさまざまな地域主義の浮上
3 FTA締結の動きと地域主義の動揺
4 テロの影響による安全保障環境の変化と地域主義
おわりに:地域主義のゆくえと日本の進路

第2章 経済自由化の政治経済学
末廣 昭
はじめに
一 規制の経済、レント、競争的クライアント関係
二 「経済の自由化」と「ワシントン・コンセンサス」の世代交替
三 経済自由化と経済危機のシークエンス:東アジアとラテンアメリカ  
四 経済のグローバル化と自由化への反発:「市民社会モデル」の限界  

第3章 海域アジアの安全保障
――海賊問題をめぐる地域協力を中心に 高埜 健
はじめに――「海域アジア」のイメージ
一 海域アジアの安全保障環境
二 海賊問題の概要
1 海賊問題の数量・規模とその性質
2 海賊問題増大の背景
三 海賊対策をめぐる地域協力
1 海賊の定義と取り締まり上の問題
2 海賊対策をめぐる地域協力
3 ASEANにおける海賊問題の安全保障問題化
おわりに――「繁栄と平和の海」を求めて

第4章 越境移動の構図
――西セレベス海におけるサマ人と国家 長津一史
はじめに
一 サマ人と西セレベス海 
二 国家の枠組み  
1 スルー諸島 
2 北ボルネオ  
3 東カリマンタン  
4 西セレベス海における植民地統治  
三 戦前期サマ人の越境移動  
1 植民地の拡大とサマ人の移動  
2 戦前期の移住――植民地経済と学校教育をめぐって  
3 植民地状況下の越境交易――密貿易のはじまり  
四 独立国家への移行期の越境移動――コプラ密貿易の時代  
1 戦後期の移住  
2 越境交易――コプラ密貿易を中心に  
3 コプラ密貿易の国家的文脈  
五 越境移動の歴史的構図――結びにかえて  

第2部 海域アジアの政治社会

第5章 東南アジアと「民主化の波」
武田康裕
はじめに――民主化の形式と実質
一 民主的移行を実現した国家群
1 体制移行の様相
2 社会の民主化圧力と軍部の体制離脱
3 国連暫定統治下の民主的移行
二 民主主義体制を維持した国家群
1 擬似民主主義体制への変容――マレーシアとシンガポール
2 経済成長と政府党体制
3 業績悪化と政党システム
三 非民主主義体制を維持した国家群
1 体制内変動の様相
2 脆弱な民主化勢力
3 軍部と体制の一体化
おわりに  

第6章 フィリピン政治と民主主義
川中 豪
はじめに
一 民主化の歴史的意味
1 アメリカ植民地支配とフィリピンの民主主義
2 民主化後の制度設計
二 民主化後の制度と政治過程
1 政治の民主化と経済の自由化
2 民主化後の政治過程
三 民主主義の定着
1 民主主義の定着と異議申し立て政治
2 エドサU
おわりに

第7章 ベトナムの社会主義体制
白石昌也
はじめに
一 ドイモイ路線の採択
二 保守派と改革派の結束
三 民族革命の勝利と共産党支配の正統性
四 ドイモイの成果と共産党支配の正統性
五 体制批判勢力の弱体性
六 アジア太平洋の地域的寛容性
おわりに  

第8章 マハティール体制の確立過程
――マレーシアにおける政治体制とリーダーシップ 金子芳樹
はじめに
一 伝統的支配への挑戦
1 伝統的支配層と「平民宰相」
2 スルタン・国王の権限に関する憲法改正問題
二 党内権力闘争
1 UMNOの内部分裂
2 UMNO非合法判決と反主流派の排除
三 社会統制の強化
1 1987年10月27日の衝撃
2 大量逮捕事件の性格と背景
3 権威主義への旋回
四 司法の支配
1 司法の独立性
2 最高裁判事罷免問題
3 リベラル派の切り崩し
おわりに

第9章 排除された市民の再構成
――インドネシア国家と華人系住民 山本信人
はじめに
一 同化・隔離・プリ=ノンプリ
二 1990年代の政策・社会変化と暴動略史
三 反「中国人」暴動の実体
四 華人の主体的政治化
五 ジャカルタ暴動の衝撃・知識人の焦り
六 政策転換と華人の再定位――まとめにかえて

第3部 海域アジアのなかのオーストラリア

第10章 太平洋島嶼フォーラムと東アジア
小柏葉子
はじめに
一 変化の背景
1 太平洋島嶼諸国と貿易優遇措置
2 貿易自由化の到来
3 東アジアへ  
二 日本との関係強化  
1 ドナーからパートナーへ  
2 停滞する関係  
3 すれちがう思惑 
三 北東アジアとの関係構築
1 中国
2 台湾
3 韓国
四 東南アジアへの接近
1 ASEAN  
2 マレーシア
3 フィリピン
4 インドネシア
おわりに

第11章 日豪関係のひず歪み
――オーストラリアの太平洋戦争 鎌田真弓
はじめに  
一 アンザック・デイとガリポリの神話化 
1 「アンザック魂」の創出 
2 アンザック・デイの再興  
二 太平洋戦争の集団的記憶:ココダとPOW 
1 ココダの神話化 
2 戦争捕虜(POW)とアンザック魂
三 日豪関係の中の太平洋戦争
おわりに  

第12章 海域アジアとオーストラリア
――アジアの副保安官を目指すハワード首相? 関根政美
はじめに
一 海域アジアのなかのオーストラリア――第二次世界大戦以前  
1 孤立した大陸オーストラリア  
2 白豪主義と鎖国国家オーストラリアの成立  
二 海域アジアのなかのオーストラリア――第二次世界大戦以後  
1 アジア・太平洋国家化を目指すオーストラリア――戦後60年の軌跡  
2 加速するアジア・太平洋国家への動き――ホーク、キーティング首相の時代  
三 海域アジアにおける多文化主義社会を目指すオーストラリア  
1 シドニーオリンピック開会式アトラクションが象徴するもの 
2 多文化主義オーストラリアの軌跡――白豪主義終焉以後  
3 共和国運動とマボ判決の登場  
四 アジア・太平洋の副保安官を目指すハワード政権?  
1 アジア・太平洋国家化にブレーキをかけるハワード政権  
2 ハンソン論争とハワード首相  
3 共和国になりそこねたオーストラリア  
4 21世紀のハワード政権  
おわりに――漂流する孤独なオーストラリア  

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