保険学のフロンティア

序章 『保険学のフロンティア』解題 石田重森
第1章 経済俯仰――その社会学的基盤に立って 庭田範秋 1 経済学の流れの中に 2 資本主義の黎明と経済思想 3 新時代の新学理の登場と相剋 4 “ケインズ革命”と呼ばれる由縁 5 近代経済学と呼ばれるものは,そのまま“現代経済学”に突入,結晶と成っていく 6 近代経済学≒現代経済学の諸学者の主張 7 わが国の経済学者とその主張 8 新しい学問の登場と発展,有能性と発効力
第2章 保険をめぐる共同体と相互扶助 岡村国和 1 ポランニーの「埋め込み理論(embeddedness)」 2 共同体内における個人と相互扶助 3 保険のルーツと相互扶助 4 現代社会保険と相互扶助
第3章 保険の仕組みと保険の定義――保険集団の存在を前提とした所説の再検討をとおして 米山高生 1 はじめに 2 「保険とは何か」を判別する試み――古瀬説と吉澤説の検討 3 保険集団の存在を前提にした「保険の仕組み」の検討 4 リスク移転を手段として理解する「保険の仕組み」の理論的根拠 5 社会的な観点からみたリスク軽減の手法 6 小括――保険集団を前提としない「保険の仕組み」と新保険法における保険の意義規定
第4章 保険業のCSR(企業の社会的責任)と現代的課題 堀田一吉 1 はじめに――CSRへの関心の高まりと社会的背景 2 ステークホルダーの多様性とCSR 3 企業戦略としてのCSR 4 環境問題と保険業 5 保険業におけるCSRの課題 6 おわりに
第5章 保険業のブランド・エクイティ 藤田楯彦 1 保険ブランドの重要性 2 保険産業のブランド力 3 長期的経営視点の保険産業の課題
第6章 保険企業によるモラルハザードとその対応――なぜ保険金不払い問題は全社的に発生したか 田畑康人 1 はじめに 2 問題の視点 3 不払い問題の特徴――全社的に発生した不払い問題 4 保険業界の不払い問題への認識と対応 5 経済学的にみた不払い問題とその対応 6 保険の第一原則の再確認――保険の第一原則は「収支相等の原則」か 7 おわりに――保険は誰のために存在するのか
第7章 投資意思決定における保険契約の役割 石田成則 1 問題意識 2 投資意思決定をめぐる利害対立の様相 3 保険契約が投資意思決定に及ぼす影響――保険と資金調達の相互依存性 4 考察のまとめと今後の課題
第8章 再保険サイドカーの意義 吉澤卓哉 1 保険リスクの新しい移転手法 2 サイドカー取引の長所 3 サイドカー取引の短所 4 再保険サイドカーの本質
第9章 バーゼルUとソルベンシーU――金融・保険の融合と資本要件規制 永田 裕司 1 はじめに 2 資本要件規制の意義と課題 3 銀行業におけるバーゼルUへの移行 4 EUソルベンシーUの動向 5 おわりに
第10章 日本版コーポレート・ガバナンスの課題と今後 藤本三喜男 1 はじめに 2 会社財産に対する株主と債権者の利害対立とその調整 3 企業統治メカニズムとは何か 4 外部ガバナンス 5 おわりに
第11章 生命保険契約の保険金受取人変更権に対する制限 肥塚肇雄 1 はじめに 2 生命保険契約の保険金受取人変更権の法的性質 3 実務上の取扱い問題点 4 保険法の見直しに関する要綱案との関係 5 結びにかえて
第12章 傷害保険における外来性要件と疾病免責条項 佐野誠 1 はじめに 2 最高裁判例の内容 3 最高裁判例の判断枠組み 4 因果関係 5 最高裁判例理論の評価 6 おわりに
第13章 訴訟からみた製造物責任法の課題と損害保険の役割 大羽 宏一 1 はじめに 2 訴訟一覧の観察結果 3 これから法律をどのように変えていくべきか 4 賠償責任保険の役割 5 製品のリコールと保険 6 まとめ
第14章 アメリカにおける近年の医療保険改革 中浜 隆 1 はじめに 2 州児童医療保険の創設 3 メディケアの改革 4 おわりに
第15章 アメリカ労使関係の形成と生命保険会社 ――ウェルフェア・キャピタリズムの再評価に関連して 中川誠士 1 はじめに 2 アメリカ型福祉国家システムにおける医療保険制度 3 労使関係のアメリカ的特徴 4 ウェルフェア・キャピタリズムと生命保険会社 5 おわりに
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