多文化交差世界の市民意識と政治社会秩序形成

巻頭言 安西祐一郎 刊行にあたって 小林良彰 はじめに 関根政美
第1部 欧米諸国 第1章 オーストラリアの「アジア太平洋国家化」言説と多文化主義 松井佳子 はじめに I 「アジア太平洋国家化」言説 II 「アジア太平洋国家化」言説の退場 おわりに
第2章 アメリカにおけるヒスパニック系住民の市民意識と政治参加の動向 小林宏美 はじめに I 不法移民法案に対する全米各地での抗議デモ II ヒスパニック系の政治参加 III エスニックエンクレイブと移民の同化過程 IV ヒスパニック系の婚姻状況 V アメリカ市民の移民に対する態度 おわりに
第3章 カナダにおける多文化市民意識の再構築――多文化主義・イスラム系移民・社会統合 大岡栄美 はじめに I カナダ人の多文化意識 II 共通性の喪失という幻想 III カナダにおける対イスラム感情 おわりに
第4章 多文化・多世代交差社会フランスのイスラム系若者の社会統合 鈴木規子 はじめに I フランスにおける暴動の経緯と背景 II 「犠牲にされた世代」としてのイスラム系若者 III イスラム系若者の社会統合とシティズンシップ おわりに
第5章 ドイツの難民庇護と市民意識――教会アジールと国民国家 昔農英明 はじめに I アジール概念の歴史的変遷 II 現代の教会アジール III 教会アジールと市民意識 IV 教会アジールの有する二面性 おわりに
第6章 イギリス――エスニック・マイノリティのメディアとナショナル・アイデンティティ 藤田結子 はじめに I 「エスニック・メディア」から「トランスナショナル・メディア」へ II イギリスのエスニック・マイノリティ・グループとメディア III ロンドン在住日本人のケース・スタディ おわりに
第7章 多文化主義国家オーストラリア日本人永住者の市民意識――白人性・ミドルクラス性・日本人性 塩原良和 はじめに I 「構造」としての白人性/日本人性と、「資本」としての白人性/日本人性 II オーストラリアの日本人移民と白人性 III 名誉白人性の源泉 IV 他のアジア系移民からの差異化 V 「アジア系ミドルクラス移民」としての再―有徴化とその限界 VI 結語
第8章 「ファミリー」を巡る言説とその政治――ハワード豪連邦政府の新自由主義的家族政策と市民意識 藤田智子 はじめに I 家族史研究の生み出した「ファミリー」言説 II ハワード政権における新自由主義的福祉制度改革と家族政策 III ハワード政権の「ファミリー」言説におけるセルフ・リライアントな「ファミリーズ」とそれを支える「コミュニティーズ」 IV 「ザ・ファミリー」を核とする「ファミリーズ」とハワード政権における家族政策の政治 V 家族史研究とハワード政権における「ファミリー」言説
第2部 アジア/ラテン・アメリカ 第9章 越境者から市民へ――タイ「山地民」の国籍管理を事例として 石井香世子 はじめに I 政治的存在としての「山地民」 II 外国人携帯証保持者の権利 III 居住空間の変化――村から町へ おわりに
第10章 ナショナリズムの再構築――トルコの有権者の市民意識とナショナリズム 滝本順子 はじめに I ケマリスト・ナショナリズムとは II トルコにおける政党支持の変遷と社会変動 III 公正発展党の躍進とナショナリズムの再構築 おわりに――2007年大統領選と総選挙
第11章 「民衆運動」から「市民活動」へ――チリ・都市部の住宅闘争の脱政治化と市民社会の発展 稲井由美 はじめに I ポブラシオンの運動の盛衰 II “最後の砦”カンパメント・ペニャロレンの住宅闘争 III 住宅問題への市民組織の介入 IV 「民衆運動」から「市民活動」へ
第12章 多文化・多民族主義国家ボリビアの市民意識の動態――アフロ系住民の文化復権運動 梅崎かほり はじめに I 背景――ボリビアのナショナリズム II 運動の起こり――アフロ文化の認知を求めて III 運動の発展――政治的認知を求めて おわりに
第3部 日本 第13章 『多文化社会』日本における移民の社会関係資本――滞日中国人の社会的ネットワークに注目して 竹ノ下弘久 はじめに I 先行研究と本研究の仮説 II データと変数 III 結果 IV 議論
第14章 “ウチナーンチュ”沖縄の外国人住民のもつ違和感 崎濱佳代 はじめに T 外国出身住民のもつ違和感 II 違和感の解決に向けて――協働性の構築は有効な手段となりうるか III 沖縄県の国際化関連の施策――特色は「世界のウチナーンチュ大会」 IV 「世界のウチナーンチュ大会」による協働性構築の可能性
索引
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