アメリカと東アジア

総 論 久保文明・赤木完爾
第1部 アメリカの東アジア関与の諸相
第1章 アメリカのアジア関与の原型 ロナルド・H・スペクター はじめに 一 国共内戦の再燃 二 中国「喪失」とその影響 三 インドシナ関与の始まり 四 朝鮮戦争の勃発と中国の介入 五 朝鮮戦争の影響 おわりに
第2章 国内政治の変容と外交政策 ――とくに東アジアとの関連で 久保文明 はじめに 一 ベトナムからレーガンまで 1 ベトナム戦争とその後 (1) ベトナム以前 (2) ベトナム戦争と民主党の変化 (3) ニクソン路線のその後 2 レーガン主義 (1) レーガン主義者 (2) レーガン外交と中国 (3) レーガン外交と「ベトナムの教訓」その1 3 「ネオコン」登場 (1) ジャクソン上院議員 (2)「ネオコン」とレーガン 4 「ベトナムの教訓」その2――軍 (1) ワインバーガー・ドクトリン (2) 湾岸戦争の遺産 二 「冷戦の勝利」とG.H.W. ブッシュの挫折 1 G.H.W. ブッシュの外交 (1) G.H.W. ブッシュの脱レーガン戦略 (2) 天安門の衝撃 (3) ブッシュ対ギングリッチ――その1 2 中道路線の破綻 (1) ブッシュ対ギングリッチ――その2 (2) G.H.W. ブッシュの挫折 三 政党の変容と外交 1 政党政治と外交政策 (1) 政党政治の構造的変容 (2) 外交政策への影響 (3) 共和党保守派の外交政策 2 外交と道徳 (1) 宗教保守派の共和党への浸透 (2) 外交への関与 (3) 左右の共闘 3 対アジア外交との関係で (1) イデオロギーと政党対立 (2) 対中政策をめぐる対立――共和党の場合 (3) 対中政策をめぐる対立――民主党の場合 (4) 対中政策をめぐるジレンマ (5) 対日政策の場合 4 世論の動向 (1) 冷戦終結と孤立主義的傾向 (2) 世論の「誤読」 (3) 転機としてのベトナム戦争 おわりに――「イラクの教訓」と2004年大統領選挙 1 9.11テロ事件の衝撃 2 並走する二つの選挙戦
第3章 冷戦後の日米安全保障関係 西川吉光 一 冷戦後の日米関係 1 冷戦の終焉とアメリカの東アジア戦略 2 湾岸戦争と日米同盟の試練 3 経済重視のクリントン政権 4 日米安保形骸化の懸念 5 ナイ・イニシアティブと日米安保共同宣言 6 沖縄米軍基地問題 7 新ガイドラインと周辺事態法の整備 8 ブッシュ政権とテロ対策特措法、自衛隊のイラク派遣 二 アメリカにおけるアジア・太平洋地域の重要性と日本の価値 三 日米中三国関係の中での日米安保 四 日米同盟関係が抱える問題点 1 理念の共有 2 日米安保の双務性 五 アメリカの持つ二面性 六 好まれる同盟国から頼られる同盟国へ
第4章 日米同盟の強化 ジェームズ・プリスタップ はじめに 一 国際的力学 1990年―2001年 二 日本の対外環境の変化―「砂漠の盾作戦」から「イラク自由作戦」へ 三 国内の変化 四 将来のビジョン:2003年―2013年 1 4年毎の国防計画見直し(QDR) 2 国家安全保障戦略(NSS) 五 日米同盟―ワシントンの視点 六 朝鮮半島 七 中国 おわりに
第5章 アメリカの東南アジア政策 ――米越関係の回顧と展望 小笠原高雪 はじめに 一 関係正常化の2つの段階 1 外交関係の正常化 2 アメリカ側の転換要因 3 通商協定締結交渉 二 東南アジアの安全保障と米越関係 1 ベトナムの地政学的位置 2 東南アジア政策における伝統 3 米越軍事協力の模索 三 軍事協力に対する制約要因 おわりに
第6章 東アジアにおける安全保障秩序の展望 ――アメリカの視角 赤木完爾 はじめに 一 力の現実と諸国家の多様性 二 東アジア安全保障秩序構想の諸相 1 ハブ・アンド・スポーク型の覇権秩序 2 多極勢力均衡 3 二極勢力均衡 4 多元的安全保障共同体 おわりに―9.11とその後―
第2部 中国と朝鮮半島
第7章 冷戦終結後の米中関係 湯浅成大 はじめに 一 ニクソンからレーガンまで 二 模索するブッシュ・シニア政権 1 天安門事件とアメリカ 2 ブッシュ・シニアの迷走 三 クリントンのエンゲージメント政策 1 人権か貿易か 2 エンゲージメント政策の展開 四 台湾危機とアメリカ 1 李登輝の訪米 2 台湾総統選挙とミサイル実験 五 建設的戦略パートナーシップからPNTRへ 1 建設的戦略パートナーシップ 2 共和党多数議会の反撃 (1) 最恵国待遇更新をめぐる対立 (2) 人工衛星とスパイ疑惑 (3) コックス・レポート 3 通常通商関係恒久的付与(PNTR)への道 (1) 中国WTO加盟へ (2) 下院のPNTR反対派 六 ブッシュ政権の2トラック・アプローチ 1 中国は戦略的ライバル 2 実務的実現主義 3 2トラックの実際 七 中国は脅威か 1 中国「封じ込め」の論理 2 台湾への武力行使はありうるか おわりに
第8章 ミサイル防衛と東アジア ――「新しい枠組み」下での米中戦略関係の展望 神保 謙 はじめに 米国のミサイル防衛計画と「新しい枠組み」 一 ブッシュ政権のミサイル防衛政策 1 「新しい枠組み」演説と米国のミサイル防衛計画 (1)「新しい枠組み」演説 (2) ミサイル防衛計画の推移 2 「新しい枠組み」構想と日米同盟 二 ミサイル防衛と米中戦略関係の展望 1 米中関係の新しい文脈 2 中国の核・ミサイル開発の経緯 3 中国の核ドクトリン――「不確実性」によって保たれる最小限抑止 4 「最小限抑止」の確実性確保から「限定抑止」へ? 5 米国における中国核開発に対する認識・対中国核運用計画――米中「暗黙の戦略的安定」の原型? 三 米中戦略関係の将来像をめぐる諸論 1 共通の前提 2 米中の戦略抑止に関する議論の差異 3 米国がとり得べき政策についての差異 おわりに 米中核関係のダイナミズムに関する今後の展望
第9章 宗教団体、人権団体、労働組合と中国 上坂 昇 はじめに 一 近年の米中関係 1 アメリカの中国観 2 米中政府間の積極的な交渉 二 信教の自由を要求するアメリカの宗教界 1 中国の宗教事情 2 アメリカの宗教団体から見た中国 三 人権団体の見る中国 1 アメリカの人権外交 2 人権は国益に優先するという主張 3 中国側の反論 四 中国のWTO加盟とアメリカの労働組合 1 中国のWTO加盟の背景 2 労働組合と産業界の立場 おわりに
第10章 保守系シンクタンクの対中姿勢 ――2000年選挙に向けた提言から9.11後まで 新田紀子 はじめに 一 政策立案決定過程における保守系シンクタンクの役割 1 利益団体としてのシンクタンク 2 保守系シンクタンクと中国 二 対中政策全般 1 民主化の強調:アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI) 2 強固な軍事プレゼンスの維持と経済関係の推進:ヘリテージ財団 3 中国の核戦力・台湾への武力行使への対抗:PNAC 4 「普通の大国」としての中国、バランサーとしての米国:ケート研究所 5 非保守系シンクタンクの見方の一例:ブルッキングス研究所(ブルッキングス) 三 危機管理(EP-3衝突事件)と台湾問題 1 米中軍用機接触事件(EP-3事件) 2 台湾――武器売却、ブッシュ発言―― 四 9.11後の米中関係 1 9.11後 2 経済問題 3 北朝鮮の核開発問題 4 台湾における住民投票 おわりに
第11章 冷戦後の朝鮮半島 ――外交政策の動態 張 済国 はじめに 一 クリントン政権の対外政策基調と朝鮮半島問題 1 安全保障政策基調との整合性 (1) クリントン政権の対外認識 (2) 対外政策の基調 (3) 北朝鮮問題:変化した対外政策との整合性 二 核開発疑惑をめぐる米国の北朝鮮政策の変容 1 クリントン政権の誕生と北朝鮮のNPT脱退宣言 2 米朝直接会談の受容と対話の質的変化 (1) 米朝共同声明に表れた非核議題 (2) 米朝第2段階会談における核以外の問題の深化 3 牽引要因としての金泳三政権 4 対北朝鮮「拡大関与」政策の兆し 三 金大中政権の登場と米国の朝鮮半島政策 1 金大中政権の「太陽政策」 2 南北首脳会談 四 ブッシュ政権の北朝鮮政策の性格と展望 1 9.11以前の北朝鮮政策:一般対外政策としての北朝鮮政策 2 2001年6月の対北朝鮮対話再開提言の意味 3 9.11以後の安全保障観の変化と深化する北朝鮮政策の一般政策化 おわりに
第12章 冷戦後の朝鮮半島 ――安全保障ジレンマ理論の視角 泉川泰博 はじめに 一 理論的枠組み 二 ポスト冷戦期におけるアメリカの朝鮮半島政策の変遷 1 北朝鮮の核開発危機とアメリカ外交 (1) 北朝鮮外交の活発化とアメリカの反応:関与政策から強硬策への漂流 (2) 北朝鮮の瀬戸際外交と米朝交渉 (3) 関与政策への反発と南北の板ばさみに悩むアメリカ 2 金大中の登場からペリー報告へ (1) 枠組み合意存続の危機 (2) ペリー報告と日米韓連携の重要性の再認識 3 ブッシュ大統領の登場 (1) ブッシュ政権の強硬政策 (2)「悪の枢軸」演説と米朝・米韓関係の悪化 おわりに
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