グローバル・ナショナル・ローカルの現在

序 章 グローバル化のトポロジーとトポグラフィー (山本純一)
第1部 グローバリゼーションと市民社会
第1章 インボランタリーからボランタリーへ ――「愛国主義」時代の中国で宗教系慈善団体が持つ意味 (田島英一) はじめに 1 宗教系NPOが持つ戦略的意義 2 宗教的価値の実践にともなう制度困難 3 宗教系NPOの事例 4 上海YMCAアンケート分析 おわりに
第2章 中国の地域社会近代化への模索 コミュニティNPOの創出 (沈 潔) はじめに 1 地域社会の意味についての論考 2 イデオロギー的地域社会づくりの挫折 3 「単位社会」の形成およびその崩壊 4 生活サービス供給型のコミュティへの模索 5 「社区服務」から「社区建設」へ 6 コミュニティNPOの創出 おわりに 第3章 グローバリゼーション下のアルゼンチンにおける市民社会の政治化 ――ピケテーロス運動に焦点を当てて (廣田 拓) はじめに 1 グローバリゼーションとアルゼンチンの対応 2 アルゼンチン社会のローカルな対応――「新しい市民社会論」の視座から 3 ピケテーロス運動 おわりに
第4章 国家、市場を社会に埋めこむ ――ブラジルにおける多元的社会創造への挑戦 (小池洋一) はじめに 1 侵食される社会 2 社会を強化する試み 3 資本主義の修正 おわりに
第2部 グローバリゼーションと農村社会
第5章 中国農村における村民選挙と権力構造の変容 ――江西省の村落を事例として (鄭 浩瀾) はじめに 1 調査村落の概況 2 権力構造と村民選挙 3 村幹部、村民と「自治」 おわりに
第6章 コーヒーのフェアトレードの可能性と課題 ――メキシコ・チアパス州の2つの生産者協同組合を事例として (山本純一) はじめに―研究の背景と目的 1 メキシコ・コーヒー産業小史 2 コーヒーFT運動の現状 3 事例分析 おわりに――「市場との接合」は可能か
第7章 グローバル危機と社会行動仏教による人間の安全保障 ――アジアのローカル文化復興によるオルタナティブ発展 (野田真里) はじめに 1 グローバリゼーションの力学 ――人間の安全の危機とオルタナティブな草の根(ローカル)文化の 復興としての仏教的開発 2 タイにおけるグローバリゼーションによる危機と開発僧の実践 3 仏教によるオルタナティブ発展のグローバルネットワーク ――カンボジアとインドを中心に おわりに――「人道的グローバリゼーション」にむけて
第3部 ナショナリズムの諸相 第8章 食とナショナル・アイデンティティ ――日本のコメ輸入反対論を事例として (小嶋亜維子) はじめに 1 アイデンティティと食の選択 2 「国民」と「ナショナルな食」 3 事例――コメの輸入反対論 おわりに
第9章 反捕鯨問題をめぐるグローバリズムとナショナリズム (安田 涼) はじめに 1 近代における捕鯨小史 2 国際的捕鯨環境の変化 3 反捕鯨問題の成立 おわりに
第10章 コミュニティを基軸にしたチカーノ・ナショナリズムの構築 ――1960年代のロス・アンゼルスで生まれたポリティクス (桑野真紀) はじめに 1 1960年代 激動のアメリカ社会 2 チカーノ・ナショナリズムの台頭 3 コミュニティを基軸にしたナショナリズム 4 希望の哲学としてのコミュニティ おわりに
第11章 ブータンの国家戦略 ――両大国のはざまで (野村 亨) はじめに 1 ブータンとはどのような国か 2 国家統一のプロセス 3 地政学的観点からみたブータン おわりに――どうしたら生き残れるのか? シッキムとネパールの教訓
第4部 <ナショナル>を超えるガバナンスの可能性
第12章 マルチレベル・ガバナンスの有効性 ――バルト海の環境問題を事例として (市川 顕) はじめに 1 バルト海の概要と環境汚染の特徴 2 バルト海諸国による環境問題をめぐる地域協力 ――Helcomを中心として 3 ポーランドとバルト海環境協力 4 バルト海における地方自治体を中心とした地域協力 5 バルト海地域協力とマルチレベル・ガバナンス おわりに
第13章 イスラームとグローバル・ガバナンス (奥田 敦) はじめに 1 ナショナリズムとイスラーム 2 ローカリズムとイスラーム 3 グローバル化とイスラーム 4 イスラームとグローバル・ガバナンス まとめにかえて
あとがき (野村 亨)
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