NO TIME TO LOSE (ノー・タイム・トゥ・ルーズ)
本書について 日本語訳への序文 ピオット博士について 内容目次 推薦の言葉 出版記念セミナー
     
 
   
 

エボラ・ウイルスの発見者であり、エイズ対策の最前線に
立ち続けた元UNAIDS事務局長・ピーター・ピオット氏が語る
「感染症との闘い」、待望の日本語版刊行!

 
   
   

本書について

 
 
  アフリカの熱帯雨林から国際政治のジャングルへ――
元UNAIDS事務局長が綴る、波乱万丈の回想録。
 
     
 

1976年、ベルギーの若き医師ピーター・ピオットは、恐ろしい感染症を引き起こしていた未知のウイルスを調べるためアフリカ・ザイール(現コンゴ民主共和国)に赴いた。死と隣り合わせの任務のなかで、この「エボラ」がどう広がったのかを突き止めるべく現地の文化や風習に深く身を浸した彼は、感染症との闘いに一生をかけようと決意する。

その6年後、彼は再びザイールの地を踏む。もう一つの新たな流行病、「エイズ」の感染が広がろうとしていたためだ。世界的に流行が拡大した80年代から、彼は国際的なエイズ対策を先導する役割を担い始める。

  NO TIME TO LOSE (ノー・タイム・トゥ・ルーズ)
 

その後、UNAIDS(国連合同エイズ計画)の初代事務局長として、国際的な協力体制を築くためネルソン・マンデラ、フィデル・カストロ、温家宝ら世界の名だたる指導者たちと、あるときは盟友関係を結び、あるときはタフな交渉に臨んでいく。国際機関の非効率や官僚的対応に苦しみながらも少しずつ歩を進めていくその過程には常に、有名無名の人びととの力強く、そして広範な「連携」があった――。

21世紀を迎える激動の時代に、世界の仕組みを変える。ユーモアを交えながらもストレートに、そしてスリリングに綴られる三十余年の回想録は、今日もなお世界で猛威をふるう感染症と、個人そして社会がどう対峙すべきか、多くの示唆を与えてくれる。

 
   
 

【訳 者】
宮田一雄(みやた かずお)
産経新聞特別記者。

大村朋子(おおむら ともこ)
元NHK 記者・国際放送キャスター。

樽井正義(たるい まさよし)
慶應義塾大学名誉教授。

【日本語版出版協力】
特定非営利活動法人 エイズ&ソサエティ研究会議
公益社団法人 グローバルヘルス技術振興基金
公益財団法人 日本国際交流センター/グローバルファンド日本委員会

 
 
   

日本語版への序文――エボラは再来し、HIV感染はいまも続いている

 

ピーター・ピオット

     
 

 今回の悲劇は、感染症の流行が今後も世界を脅かし続けるであろうということを示しています。インフルエンザやHIVと同じようにエボラウイルスの感染も、元は動物に由来するものでした。未知の動物由来感染症が将来、人類を襲うこともあると考えなければなりません。

 流行がどこで起きようとも、それはその地方の人びとに大きな打撃を与えるだけでなく、米国やスペインにおけるエボラ症例が示すように、何千キロも離れた場所でも感染を引き起こすことになります。極めて致死性の高い病気の輸入感染や二次感染は、流行国以外の国に対しても患者のケアや隔離、臨床的、公衆衛生的な封じ込め対策に大きなコストを強いることになります。

 また、社会的なパニックや保健システムの崩壊を招くこともあります。したがって、西アフリカのエボラとの闘いは、流行国の人びとの苦痛を緩和するだけではなく、世界全体に利益をもたらす「世界共通の公共財」と考えるべきなのです。西アフリカのためだけではありません。同じことは他の数多くの感染症対策にも当てはまります。

 流行発生のさまざまなリスクが組み合わされると、ウイルスの感染を拡大させ「本格的な嵐」を生み出すことになる。流行の現状はこの点も明らかにしています。西アフリカでは、何十年にも及ぶ内戦と腐敗した独裁政権が続いたことによる政府への信頼喪失、保健システムの機能不全、世界最低水準の人口あたり保健医療従事者数、病気の原因に対する伝統的な迷信、そして国内レベル、国際レベル双方の対応の遅れ、それらが組み合わされて、エボラ危機という嵐が生み出されました。今回の経験はまた、感染症の流行を防ぎ、コントロールするうえで、保健システムを適切かつ公正に運営していくことがいかに重要であるかということも示しています。

 
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ピーター・ピオット(Peter Piot)博士について

 

 

 

ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院学長
元国連合同エイズ計画(UNAIDS)事務局長

1949年ベルギー生まれ。1976年、ヘント大学でM. D. 医学博士、1980年にアントワープ大学でPh. D(微生物学)取得。アントワープ熱帯医学研究所の微生物免疫学教授等を経て、1995年から2008年まで国連合同エイズ計画(UNAIDS)初代事務局長。2010年から現職。常に活動の拠点をアフリカに置き、エボラ出血熱、HIV/エイズをはじめとする感染症に関する研究を行う。またUNAIDS事務局長としてHIVの世界的流行に対する国際的関心を惹起し、地球規模での対策を実現させるうえで中心的役割を担った。2013年、アフリカでの医学研究・医療活動の分野において顕著な功績を挙げた者に贈られる「野口英世アフリカ賞」(第2回)を受賞。

  ーター・ピオット(Peter Piot)
     
 
 
   

推薦の言葉

 

 

  “エボラウイルスの発見からHIV/エイズ対策に至るまで、ピーター・ピオット博士は地球規模での感染症との闘いの最前線に立ち続けてきた。洞察に満ちた本書で博士は、グローバルな人道上の危機を克服するうえで、私たちの「共通の責任」の重要性を改めて気づかせてくれる。”  
――コフィー・アナン(元国連事務総長、ノーベル平和賞受賞者)  
   
  “ピオット博士がエボラに関するフィールドワークから、UNAIDSの創設者になるまでを率直に振り返ったこの回顧録は、「グローバルヘルスへの挑戦」を浮かび上がらせるものだ。”  
――『サイエンス』誌  
   
  “ここ数十年の国際保健の進展を生き生きと描いた極めて貴重な本だ。この世界には、勇気と情熱を持って難局に立ち向かうピーター・ピオットのような人物がもっとたくさん必要だ。”  
――『ウォールストリート・ジャーナル』誌  
 
   

内容目次

 

 

 

序文

   
第1部    
  第1章 青い魔法瓶の中のウイルス
  第2章 ついに冒険の旅へ
  第3章 ヤンブクの宣教会
  第4章 エボラ
  第5章 流行の噂とヘリコプター
  第6章 国際調査団
第2部    
  第7章 エボラから性感染症へ
  第8章 アメリカ、そして帰国
  第9章 ナイロビ
第3部    
  第10章 新たな流行病
  第11章 プロジェクトSIDA
  第12章 ヤンブク、再び
  第13章 流行の拡大
  第14章 衛兵の交代
第4部    
  第15章 国際官僚として
  第16章 水の中のサメ
  第17章 基礎を固める
  第18章 カメレオンの教訓と素晴らしい連携
  第19章 転換点
  第20章 いのちの値段
  第21章 エイズの軍資金
  第22章 終わっていない課題
     
  終章  
  謝辞  
訳者解説 宮田一雄
『NO TIME TO LOSE』日本語版刊行に寄せて 黒川 清・BTスリングスビー 
訳者謝辞    
索引    
     
 
 
   

出版記念セミナー

 

 

 

ピオット教授を迎えての出版記念セミナー

 
     
  * セミナーは終了しました。セミナーの報告はこちらからご覧いただけます。 *  
  原著者のピーター・ピオット教授が4月に来日される機会に、出版記念セミナーが開催されます。プログラム詳細と申込みについては、以下(公財)日本国際交流センターのウェブサイトをご覧下さい。  
     
  日 時 : 2015年4月17日(金) 18:30〜
 
  会 場 : 慶應義塾大学三田キャンパス 北館ホール  
  定 員 : 200名  
  プログラム詳細と参加申し込みについてはこちら  
     
     
 
   
NO TIME TO LOSE (ノー・タイム・トゥ・ルーズ)
 

NO TIME TO LOSE (ノー・タイム・トゥ・ルーズ)
― エボラとエイズと国際政治

    
 
    
ピーター・ピオット 著
宮田 一雄 訳
大村 朋子 訳
樽井 正義 訳
    
四六判/上製/500頁
初版年月日:2015/03/20
IISBN:978-4-7664-2197-2
本体 2,700円+税
  
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アフリカの熱帯雨林から国際政治のジャングルへ
――元UNAIDS事務局長が綴る、
波乱万丈の回想録。

 

 

   
 
     
     
     
     

 

 

 
 
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