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立ち読み  
編集後記  第66巻12号 2018年12月
 

▼今月号のテーマの一つは「反抗期再考」です。もともと反抗期には個人差があることが知られており、反抗の強さや反抗期が続く期間にはバラつきがあるようです。ただ、昨今、反抗期のない子どもが増えていると言われます。とても大変な反抗期を経験された保護者の方には、反抗期がない子どもがいるなんてうらやましい! と思われるかもしれません。しかし、発達的にみれば、反抗期は成長の証でもあり、反抗期があることは喜ばしいものなのです。

▼最近、反抗期にまつわる、あるエピソードがインターネット上で話題にあがりました。それは、反抗期に入った思春期のお子さんが、お母様に向かって初めて「クソババア!」と言ったときのことです。このような状況では怒ってしまうお母様も多いことと思いますが、そのお子さんのお母様は、「お父さん! お祝いよ! うちの子にも反抗期がきた!」とおっしゃり、赤飯を炊き、家のポストに「反抗期の息子がいます」という張り紙をして喜ばれた、ということです。結局、このお子さんは、自分の反抗が母親を喜ばせるだけだと感じ、一日で反抗期が終わったそうです。

▼実際に子どもの反抗を目の当たりにしたとき、これほど喜ぶのはなかなか難しいことかもしれません。実際に喜びを示すかどうかは別にして、反抗期も成長の証、と心のどこかに留めておくことはあっても良いように思います。一方で、子どもの行動について、反抗期に入った行動だと大らかにとらえることはとてもできないような、非行や犯罪に該当する行動をとってしまっている、というケースもあるようです。反抗期やその背景について改めて知ることは大変重要だと思います。今月号は、「反抗期」をキーワードに、現代の子ども、そしてそこに関わる家族や社会について考えます。ご自身やご自身のお子さんの反抗期の体験を思い出しながら、反抗期について一緒に考え直していく機会になれば、と思います。

▼今月号のもう一つのテーマは「気をつけたい冬の感染症」です。今年はすでにインフルエンザが流行し、学級閉鎖や休校などをする学校もあったようですが、インフルエンザのピークはこれからのようです。  冬は、インフルエンザだけではなく、風邪やほかの感染症も流行しやすい季節です。ただ、感染症の中には、予防接種を受けていれば避けることができたり、日常の習慣や工夫で感染の広がりを防ぐことができたりするものもあります。読者の皆さまが健やかにこの冬を乗り切ることができますよう、家庭や学校などでできる感染症対策、効果的な予防策について最新の情報を知っていただけましたら幸いです。

▼あっという間に、今年も残すところ、あと一ヶ月あまりとなりました。今年は「平成最後」という冠のつくことが多い一年でした。「平成最後」の年越しです。皆さま、どうぞ健やかに、よいお年をお迎え下さい。

 

(實藤和佳子)
 
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