No.1247(2020年8・9月合併号)
特集
No.1247(2020年8・9月合併号)
特集
三田評論
2020年8・9月合併号表紙
雑誌の「特集」テーマは、1回とりあげられたら当分2度目はない。「コロナウイルス」だけは例外。毎号話題になる。本号の特集「コロナ危機と大学」は、教育・研究・医療についてダブルの座談会と関連記事を掲載して、本塾の真摯な取り組みを報告・紹介し、頭が下がる熱意と迫力だが、「読み物」としてどれだけの新鮮味があるかというと、それはまた別次元の話なのである。むしろ、普通は読み飛ばされがちなページに、意外な驚きがあった。パリが長い吉田進氏「コロナ危機下のパリに生きる」(「丘の上」)。欧米人のマスク嫌いという話はしょっちゅう耳にするが、マスクを多用するアジア人への差別意識という指摘は、これまで日本のメディアではあまり聞かれない切り口である。アルベルト・ミヤン・マルティン氏の「映画の理解と翻訳の役割」で紹介された韓国映画『パラサイト』のある台詞をめぐる西洋人の誤解、誤訳の挿話と見事な対をなしている。
鷲見洋一
新型コロナウイルスが猛威をふるう中、大学もキャンパスに学生は入れず、授業はオンラインでという、経験したことがない日々が続きました。研究・教育機関であるとともに、医学部、病院を擁する医療機関でもある慶應義塾は大学病院の院内感染にも見舞われ苦闘の日々を送りましたが、その中で新型コロナに対する研究も進んでいます。座談会2本の異例の構成で、コロナ危機の中でどのように慶應が対応したのかを特集しました。
福井直昭さん
武蔵野音楽大学学長
インタビュアー:大島誠一(慶應義塾名誉教諭、元幼稚舎長)
コロナ禍の中、曾祖父が設立した、わが国初の音楽大学である武蔵野音楽大学学長に就任した福井さん。幼稚舎から慶應で学び、ピアニストとしても活躍する新学長に大学経営の期待が高まります。武蔵野の建学の精神「〈和〉の精神」の中に「独立自尊」を意識した大学経営を行いたいという、その考えをお聞きしました。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。