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立ち読み  
編集後記  第65巻2号 2017年2月
 

▼新しい年が開けるとすぐに受験シーズンの到来ですね。  昨年末から流行の兆しがあるノロウイルスやインフルエンザの感染予防も、受験生とその家族にとって大切になってきます。まず個人でできる感染予防には、人ごみでのマスク着用、こまめな手洗い、インフルエンザのワクチン接種です。以前は、重い脱水症で入院する赤ちゃんが多く感染性胃腸炎の代表であったロタウイルス胃腸炎は、ワクチンの普及により激減しました。最近では大人も子どもにも感染性の強いノロウイルスによる胃腸炎が話題になっています。幸いにも数日以内で回復することが多く、入院にまで至ることは多くはありませんが、大事な試験を控える受験生の家庭には入り込まないでほしいですね。

▼胃腸の具合は、感染のみならずアレルギーや心身の不調が影響します。ストレスや不規則な生活が続くと、胃が痛くなる、便秘が続く、緊張すると下痢をしてしまうなど、心身の状態は自律神経の働きと密接に関係して身体にSOSを送っています。自律神経は睡眠とも大きく関係していますので、夜の眠る環境、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用などを見直してみる必要があります。長年、患者さんの健康を診ている医師でさえ、自分の身体のサインには気づいていないことが多いものです。私自身も医師として30年以上経てようやくそのことに気づき始めました。大きく体を壊す前に、自分の身体の声に耳を傾けてみることが、心と体の健康管理になります。

▼受験シーズンの後には、卒業、入学、進級、就職と新しい環境でスタートを切る4月を迎えます。誰もが新しい場所で頑張ろうと希望に胸を膨らませ、一歩を踏み出します。一方で、新しい環境に馴染むのに時間がかかる子どもや大人も存在します。今回の特集1で取り上げたテーマは、幼稚園から小学校へ、小学校から中学校への進学にあたり、発達特性のある子どもたちへの支援が途切れなくシームレスに続くための一助になればと取り上げました。さらに高校、大学、就職の支援については、まだまだこれからの課題であり、実際に現場で取り組まれている方々にご執筆いただきましたので、参考にしていただければ幸いです。

▼厳しい寒さの後には春が巡ってきます。うまくいかない時こそ、地面の下に根を張る時、自分の本当の思いに気づいて、やり続けていく力を子どもたちの中に育みたいものです。子どもたちの嬉しい知らせには、心から一緒に喜び合い、逆の知らせの時には、そっと寄り添い休ませてあげましょう。そんな時ほど、子ども自身が次へ向かって歩み出す力を持っていることを信じて、見守る勇気を持ちたいですね。 ▼どうしてもハラハラ、ドキドキで我慢できなくなった時は、ほんの短い時間、目を閉じてゆっくりと深呼吸を繰り返してみてください。意外と短い時間でも、心を落ち着かせる効果があります。お試しを。

 

(安元佐和)
 
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