No.1257(2021年7月号)
特集
No.1257(2021年7月号)
特集
三田評論
2021年7月号表紙
国谷裕子が伊藤新塾長の意気込みを引き出す。「慶應義塾の目的」の実践例を地方移住特集に見る。「未来に向けて、今、見るべき本質」「自由に、新しいことを、自分でやる」「信頼が大前提」など、コロナ疲れの姿勢を正す言葉の数々。篠田真貴子の「聴く」も基本。一方、髙橋傑の「地域を見る目」や、佐藤太亮の「ゼロになったまち」が、より深い現実を突きつける。「健康を地上から見守る」技術は、地方のみならず、都市部の孤立者にも。そこまでこだわる? 三人閑談。スミソニアン博物館収蔵品解説の『発明の歴史』(学習研究社)によれば、早打ちによる活字アームの絡まりを防ぐため、使用頻度の高い文字を遠くに配列したとのこと。学生時代はそれでも絡みにイラついた。「中津留別之書」の多言語翻訳。「翻訳の差異は原語の真意を考え直すきっかけ」に納得。「ラベンダー」は解釈抜きで色と香りが伝わってくる。巻頭写真と山上広場の塾生活躍情報。素直にうれしい。
(山崎信寿)
高齢化、そして人口減少の波を一はやく受け、「消滅自治体」などといった言葉もメディアに出る地方の問題。その衰退に歯止めをかけることは必須ですが、一方で、「地方移住」をして、その地域を活性化している若い人たちの生き生きとした姿も見受けられます。地方移住は地域衰退にストップをかけられるか? とりわけ教育を充実させることがカギとなりそうです。
5月28日より慶應義塾長に伊藤公平理工学部教授が就任しました。政策・メディア研究科特任教授を務める、キャスターの国谷裕子さんとの当対談で、新塾長はこれからの慶應義塾をどのように先導していくのか、「慶應義塾の目的」を実践することの大切さを語りかけています。
速水 聰さん
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)主任医長・塾員
インタビュアー:田中謙二(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室准教授)
3回目の宇宙飛行にして、ISS(国際宇宙ステーション)船長の任にあたっている塾員の星出彰彦さん。その星出さんを支えるスタッフの一人である「フライトサージャン」として地上から健康を見守るのが速水さんです。リハビリ専門医の技術を生かしてJAXAに入り、宇宙飛行士の飛行中、飛行後の健康をすべて診るドクターの仕事に、細心の準備と日々のケアの大切さを感じ取ることができます。
私たちが普段、キーボードやスマホでなにげなく行う“入力”。画面上の文字や記号には気を留めても、その“方法”に関心を持つことは稀なのではないのでしょうか。入力の起源をたどれば行き着くのは19世紀のタイプライター。さらにワープロ、パソコン、スマートフォン──とハード機器の進化とともに、入力も多様な変化を遂げてきました。しかし、どのように? “入力”に並々ならぬ情熱をもつ3人の、目から鱗の入力談義です。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。