No.1287(2024年4月号)
特集
No.1287(2024年4月号)
特集
三田評論
2024年4月号表紙
特集は「エンタメビジネスの未来」。エンタメ業界の話題は耳にするものの、その実態を問われれば、即答できる人は少ない。畢竟、優れたクリエイターとプロデューサーが存在すればエンタメ業界は更に発展する、とは言い切れないところが日本の問題点。韓国のように国を挙げての文化事業支援の側面は感じられない。日本のアニメや漫画などが世界を席巻するのは、人々の心の琴線に触れるからであり、国際市場を意識したものではない。「推し」によってSNSを介してアニメやゲームが拡散し、名所案内に載らない地域に海外の観光客が集まる。「推し」の成果を戦略的にビジネスの取り込む姿勢があれば、文化の普及にも役立つ筈。「三人閑談」。フライフィッシングへ誘う魅力的な話。魚を傷つけないように「針の返し」を潰すやさしい思いやりは心あたたまる。「追想」。哲学者であり、生命倫理の第一人者の樽井正義氏が逝去された。心から哀悼の意を表したい。
(伊藤行雄)
アカデミー賞の受賞の報せも記憶に新しい日本の「エンタメ」。近年、ネット配信サービスの普及や様々な分野でのデジタル化もあり、日本のエンタメの海外での人気が一段と高まっているようです。日本のエンタメの力の源泉とそれを普及させるエンタメビジネスの手法とは? 記事ではエンタメビジネスを盛り上げる「推し」の分析を多角的に考察しました。
草野絵美さん
アーティスト・塾員
インタビュアー:荒木夏実(東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授・塾員)
最新のテクノロジーを駆使したアート作品を発表し続ける草野絵美さん。アルゴリズムや機械学習などの計算プロセスを利用して作品を生成する〈ジェネラティブアート〉をはじめ、デジタルクリエーションの領域で様々な表現活動を繰り広げています。既存のアートの領域を再編する草野さんに、創作のモチベーションや表現活動の魅力、アーティスト活動を始めるきっかけなどについてお話を伺いました。
近年のアウトドアブームの影響などから、日本でも今注目を集めている「フライフィッシング」。「釣る」だけが楽しみではない、魚や環境にあわせて行う様々な創意工夫、ライン(糸)の先で跳ねる、色鮮やかなフライ(疑似餌)の数々。そんな難しくも奥深い「フライフィッシング」の魅力について、フライフィッシャー(釣り人)の皆さんに語っていただきました。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。