No.1281(2023年10月号)
特集
No.1281(2023年10月号)
特集
三田評論
2023年10月号表紙
「特集」は「一貫教育確立125年」。参加者は一貫教育校出身者。各校在籍時のエピソードは面白く、独自の校風が色濃く反映されている。受験にとらわれず自由な気風のなかで、早い時期から専門的な学問を志し、将来を見据える多彩な生徒たちが目立つ。在学中は少々突飛な行動しても社会人としての活躍次第で評価が変わる。それも一貫教育の良いところだ。「優勝記念対談」で塾高前監督、現監督は「栄冠」をつかむまでの野球部独自の創意工夫が披露されている。「Enjoy Baseball」には気配りの精神、文武両道の心構えなど、種々の深い意味(都倉氏のエッセイを参照)も込められている。慶應独自のスタイルで高校野球界に一石を投じることをぜひ期待したい。「想い出のつるの屋」(三人閑談)。ゼミ終了後に先生・先輩らと交流する場は重要だ。馴染みの店が消えるのは寂しい限り。新たな「居場所」を見つけるのは、学生達にとって喫緊の課題かもしれない。
(伊藤行雄)
本年は1898(明治31)年に慶應義塾の一貫教育制度が確立して125年となります。男子校、女子校、共学校と多岐にわたる高校までの各校の個性は、「同一の中の多様」と呼ばれ、独特の「塾風」を形作りながら、大学へとつながっていく独特のシステムです。様々な歴史が形成してきたこの「一貫教育125年」を見つめ直すことで、慶應義塾の役割もより見えてきます。
慶應義塾高等学校野球部が107年ぶりとなる、夏の甲子園優勝を果たしました。この夏、各種メディアにおいて様々に話題となった塾高優勝ですが、「エンジョイ・ベースボール」の伝統の下、「KEIO 日本一」の目標を定め、優勝までの軌跡を正しく語れるのが本誌です。上田前監督と森林現監督の対談を中心に、慶應野球の伝統と革新の姿を明らかにしています。
堀江慎吾さん
サンディエゴ・パドレス球団通訳・塾員
インタビュアー:遠田寛生(朝日新聞ニューヨーク支局・塾員)
今年3月のWBCに広報兼通訳として参加し、優勝に貢献した堀江さん。大リーグ選手通訳を田中将大投手の渡米とともに始め、現在、ダルビッシュ有投手の通訳としてシーズンを通し多忙な日々を送っています。ニューヨーク学院一期生でもある堀江さんが幼少期から日米を往復しながら身につけたコミュニケーション能力とは? 謙虚な人柄の中に、とても学ぶものがありそうです。
三田通り機械工具会館の地下にあった大衆割烹「つるの屋」。そこでは1960年代終わりの開店以来、様々な塾員、教職員、塾生が集い、「夜のゼミナール」や「夜のサークル活動」を繰り広げていました。大先生も胸襟を開いてしまうその魅惑の空間は、残念ながら今はありませんが、つるの屋を愛する人の心の内に存在する、その想い出は永遠です。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。