No.1279(2023年7月号)
特集
No.1279(2023年7月号)
特集
三田評論
2023年7月号表紙
特集は「コロナ後の医療政策」。医療が混乱したのはデジタル化の遅れによる情報不足、縦割り行政による情報の非共有化が大きな原因といえる。未解決の課題は山積みのまま、次の新型感染症への対策の展望が見えないのが現状。座談会でも話題になった「かかりつけ医」とは何か、極めて曖昧である。パンデミックは国家危機。「話題の人」。女性初の東京都教育長に就任された浜氏へのインタビュー。どこの職場でも「楽しい」という気持ちで切磋琢磨されたようだ。その精神は慶應の女子高時代に培われたとのこと。聞き手の岩波氏も女子高出身、慶應で女性初の常任理事を務めた。「三人閑談」。多様な音楽家を生む塾の風土の話、ジャズの魅力を語る鼎談を読んでいると脳裡に生演奏が響き渉るようだ。音楽家へのサポートの話題も新鮮だ。「執筆ノート」。『江戸の花道』は古典の軍記物語の分析を通して近世社会の歴史観、価値規範を検討する力作。
(伊藤行雄)
3年あまり続いた新型コロナウイルスの流行も、この5月で5類に移行。フェーズが大きく変わりました。この間、日本の医療は、この新興感染症のパンデミックに大きな影響を受け、医療体制の逼迫等の事態が生じました。日本の医療体制のどこに問題があり、いかに改善される必要があるのか。多くのことを学んだはずのコロナを経て、日本の医療を点検し、展望を考える特集です。
浜 佳葉子さん
東京都教育委員会教育長・塾員
インタビュアー:岩波敦子(慶應義塾大学理工学部教授)
東京都教育委員初の女性教育長に就任された浜さん。持前の旺盛な好奇心に加えて、女子高から慶應義塾で、どんな人とも対等に接する姿勢を学んだと語る浜さんは、東京都で「女性初」という数々のフロンティアを切り開いてきました。どんな仕事も面白くないと思ったことはなかった、と語る浜さんの前向きな姿勢には学ぶこと多と感じます。
日本最初のジャズのレコーディングは慶應義塾の塾生が大きく関係していました。加えて、有名ジャズサークルも多数存在する慶應で、3年間にわたって開かれたアート・センター設置のジャズの授業は、その縁をまた大きく広げています。隣接するジャンルを取り込んで拡張していくジャズ。その魅力をとことん語り合っています。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。