No.1278(2023年6月号)
特集
No.1278(2023年6月号)
特集
三田評論
2023年6月号表紙
特集は「AIと知的財産権」。文章を書く時に、原作者を意識しながら、注やURLの閲覧した日時の表記をするのは至極当然の事。AIによる生成物の著作物性については、座談会の真剣な議論を読むと個々のケースで判断がわかれるようだ。ただAIをいかに活用するか、その道筋が示されている点は、論文三編とともに興味深い。規制を強化するのは時代の進歩に逆行する。生成AIによる知的財産権を認めるかどうか、更なる前向きな議論を期待したい。ハローキティの(株)サンリオの若き社長辻󠄀朋邦氏は、刻々と変化していくエンターテインメントへの対応に敏感な感性を持っているようだ。創業者、現会長辻󠄀信太郎氏の「みんななかよく」は会社の大事なモットー。今後の活躍に期待したい。世界的なピアニストのアルゲリッチを慶應に招いたという池田氏の報告。素晴らしい限りだ。演奏の感想を読んでいると、昔ドイツで聴いた生演奏の煌びやかな音が脳裡に響き渡る。
(伊藤行雄)
「Chat GTP」を始めとするテキスト生成AI、また数々の画像生成AIの出現によって、また一歩、人間とAIとの距離が縮まったようにも思えます。世界全体で生成AIとどのように付き合っていくのかという議論が喧しい中、AIで生成されたものは著作物なのか、人間がつくったものとどう違うのか、といった問題に焦点を当てて特集をしました。AI生成物について考えることは、人間の創作物とは何かを考える契機にもなりそうです。
辻󠄀 朋邦さん
株式会社サンリオ代表取締役社長
インタビュアー:小平麻衣子(慶應義塾大学文学部教授)
キャラクター文化の盛り上がりとともに、今や世界共通語となった日本の「kawaii」。その先駆けとも言えるのがサンリオです。ハローキティをはじめ、マイメロディやリトルツインスターズなど、これまで多くの人気キャラクターを生み出してきました。2020年に同社代表に就任したのが辻󠄀朋邦さん。サンリオの変遷やファン参加型のNEXT KAWAII PROJECTなど、辻󠄀さんのキャラクター文化への思いを聞きました。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。