No.1271(2022年11月号)
特集
No.1271(2022年11月号)
特集
三田評論
2022年11月号表紙
母の介護を深く反省させ、自分の明日には希望を持たせた認知症特集。家族介護前提の時代に、9人の子らが労力か資金かを選択し、平等輪番制で乗り切った。もはやこの手は使えない。冨崎悦子の視点が必要なのは子供に対してだけではない。畠山海人の「欠損という『余白』」も身体だけではなかろう。吉原直樹の移動の変質がもたらす新たなつながりや、竹野(辻)恵里の「出張シェフ」も心強い。時代は脳や運動器の衰えを補い、共存を許容する方向に進みつつある。ただし、田村俊作の「本のテーマパーク」のように、皮膚感覚の出会いも欲しい。根本美緒の信念と突き進む勇気に倣い、各人の意識改革と行動で、多様性を認めた暮らしやすい社会になれば、「認知症」は死語になろう。「美しく文字を書く」は憧れ。半世紀前から和文タイプ、ワープロ専用機、パソコンの世話になり、悪筆化に漢字忘れも。書字も将棋も人工知能が未達の深い脳活動らしい。
(山崎信寿)
超高齢社会の到来と言われる中、認知症と診断される人も年々増加する一方です。認知症は家庭や社会との関わりの中でこそ考えていくべきものであるからこそ、多種多様な専門の方々に発言、寄稿いただきました。認知症との共生社会をどのように考え、どうずれば少しでも明るい未来にしていけるのか。一石を投じる特集です。
根本美緒さん
気象予報士・塾員
インタビュアー:島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授)
気象予報士/フリーアナウンサーとして活躍中の根本美緒さん。現在は東京大学大学院の博士課程に在籍し、研究に従事するとともに環境問題の情報発信にも努めています。気象予報士として、母として、研究者として、さまざまな顔をもつ根本さんはいかに環境問題と向き合うことになったのか。そのやりがいや喜び、難しさについて伺いました。
ヒトが意思を伝える手段として携えてきた「文字」。書を芸術の域にまで高める文化は洋の東西を問わず、世界中に広まりました。一方、現代に生きる私たちの生活から「書く」行為が急速に失われつつあるのも実感されるところです。“手書き離れ”が進む中、今改めて文字を美しく書くことの愉しみを語り合う閑談です。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。