No.1292(2024年10月号)
特集
No.1292(2024年10月号)
特集
三田評論
2024年10月号表紙
特集は「慶應義塾の国際交流」。海外への留学の伸び悩みは、3年次から始まる就活だけが原因なのか。福澤が江戸末期に海外に赴き見聞を広めたのは周知の通り。その慶應が留学生を増やすことは喫緊の課題だ。海外で勉強し、異文化に触れるのは極めて大事。資金の豊かな海外の環境で仕事ができれば幸運だが、文系では大学院へ進むのを躊躇する学生が多いのも確か。欧米と比べて博士号をあまり重視しない日本の傾向にも問題がある。「福澤諭吉をめぐる人々」。現理工学部の礎を築いた財界人、福澤を生涯、敬愛した藤原銀次郎の人柄が浮彫りにされている。「追想」。世界的建築家の槇文彦氏が逝去された。筆者は槇氏の『見えがくれする都市』が最初の出会いだった。1980年代初頭、日吉図書館建設計画の際、委員会で初めてお会いした。開館20年の折には対談もさせていただいた。学生の質問に真摯に答える先生のお姿が目に浮かぶ。ご冥福をお祈りしたい。
(伊藤行雄)
1858年に蘭学塾として開塾し、西洋の新しい学問を学ぶためにつくられた慶應義塾にとって国際化は必須のものです。21世紀も四分の一まで差し掛かった現在、その現状はどのようなものでしょうか。海外に学びにいく塾生、海外からの留学生の受け入れ、そして海外研究者との共同研究の進展など、未来に向けてその課題を考え、真の国際化、国際交流とは何かを考えていく特集です。
中村萬壽(小川光晴)さん
歌舞伎俳優
中村時蔵(小川義晴)さん
歌舞伎俳優
中村梅枝(小川大晴)さん
歌舞伎俳優[幼稚舎三年生]
インタビュアー:加藤三明(慶應義塾名誉教諭)
幼稚舎が創立150年を迎えた本年、幼稚舎三代の歌舞伎俳優がこの6月同時襲名を行いました。女形の名跡・中村時蔵を息子に譲り、自らは新たに名前をつくった中村萬壽さん、六代目となる中村時蔵さん、そして幼稚舎3年で初舞台を果たした五代目中村梅枝さんの3人です。三方とゆかりの深い、幼稚舎元舎長が和やかな雰囲気のもと、インタビューしました。
日本の歴史の中で謎多き存在として知られる忍者。物語やドラマの登場人物として親しまれ、多くの時代劇ファンを惹きつけています。黒装束に身を包み、夜の町を駆けめぐる……。じつは、そんなイメージは歌舞伎や小説を通じて広まったフィクションの姿なのだとか。今回は忍者学や近世史を専門とする皆さんが、史実に基づく忍者の実態に迫ります。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。