No.1291(2024年8・9月合併号)
特集
No.1291(2024年8・9月合併号)
特集
三田評論
2024年8・9月合併号表紙
特集は「科学技術と社会的課題」。人間の叡知を超えるかに見える生成AIなど、加速化する技術進展に疑問を持つ人は少なくない。生命科学での成果でも経済的な格差によって命の峻別もありうる倫理的な問題が生じる。科学技術は誰もが幸福な社会の実現に役立つもの(駒村氏)。人間存在、人間の尊厳を問うのは人文系の分野だけではない。加速度的に進む科学技術には、本来、倫理的、法的、社会的な知の側面から分析する必要がある。科学技術の進展を担う技術者の意見も交えた、文・理を越えた視点からの本座談会は新鮮で興味が尽きない。「コンプラ社会を問う」(時の話題)。ある製品が華々しく発売されたあと、回収やリコールのニュースをよく耳にする。製造過程の末端のミス、試験データの改竄などが話題となるが、その原因は現場の責任だけか。むしろ企業のトップの倫理の欠如と疑いたくなる。トップは末端までの責任を負う自覚を絶えず持ってほしい。
(伊藤行雄)
生成AI、メタバース、再生医療、生殖医療……など、最近の科学技術の進展は、今まで不可能とされてきた領域をどんどん可能なものにし、人間に恩恵をもたらしています。その一方で、急速な科学技術の進展に、社会・人間の側が追い付かず、どのように対応すべきかという課題も横たわっています。ELSI(倫理的・法的・社会的課題)と言われるアプローチが人文社会系の学知から言われるようになった今、これからより良い社会をつくるために、文理融合はどうあるべきか。大学のあり方とともに問い直す特集です。
内田伸哉さん
マジシャン、(株)スターミュージック・エンタテインメント取締役CMO
インタビュアー:茂木和徳(ビジネスプロデューサー・塾員)
慶應義塾大学在学中にプロマジシャンとしてデビューした内田伸哉さん。2010年に〈iPadマジック〉で人気を博し、今、動画プラットホームで多くのフォロワーを集めています。会社員との二足の草鞋を履く“サラリーマジシャン”として、会社経営に携わりながらデジタル時代のマジックを探究する内田さんに、マジックの魅力や活動遍歴、企業人との両立などについて聞きました。
総合格闘技や柔道で活躍するブラジル人選手たち。その強さの大本には、彼らの祖国で磨かれ続けてきた「グレイシー柔術」や「カポエイラ」といった競技の存在があります。単なる殴り合いではない、様々な要素・ルーツを持ち合わせた、これらの競技の魅力とは? また、格闘技を通して学べることとは、一体何なのか。格闘技・柔術に精通している皆さんに、大いに語っていただきました。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。