こんにちは。私はジョセフ・ラザーロです。私の本「Adaptive
Technologies for Learning and Work Environments」についてお話します。この本は日本語に翻訳され出版されました。これは私にとって大変名誉なことです。それでは、自己紹介をしてから、どのように「アダプティブテクノロジー」に関わってきたかお話します。
私は、およそ30年前に、網膜はく離のため視力が低下しました。その時は、この先どのようになっていくか大変不安になりました。
1980年、約10年経過した頃には、完全に視力を失いました。ちょうどその頃、音声合成装置付Apple・を入手しました。コンピューターは私の人生を完璧に変え、大学を無事卒業できました。私はマサチューセッツ大学で物理学を専攻しました。コンピューターは、晴眼の学生と同じように、一人で研究を進めることを可能にしてくれました。
アップル・コンピューターを手に入れたことで、多くのことに目を開かされるようになりました。私が抱いていた夢は本を書くことでした。私の大学の課題はアップル・コンピューターで仕上げました。私は5つの音声合成装置についてレビューし、1984年12月号の「バイト」誌に、「コンピューター音声の研究」というタイトルで掲載しました。この雑誌の記事は私のキャリヤを推し進めることになり、その他多くの雑誌記事や本を書くことにつながりました。私の著作の多くは、コンピューター関連の技術専門書の「プレステージ」的存在となっています。その当時は、技術専門的な著作をする視覚障害者としてはユニークな存在でした。
私の著作は、コンピューター関連のみならず、SF小説にも及んでいます。SF小説を「アナログ」という雑誌に何本か投稿しています。最初の作品は1985年9月号の「アナログ」誌に載せた「ベン・フランクリン宇宙船」というものでした。この作品はヒューゴ賞の最優秀SF部門賞になりました。
1993年には、「Adaptive
Technologies for Learning and Work Environments」を、アメリカ図書館協会(ALA)から出版しました。この本は、さまざまな障害を持つ人にコンピューターをいかに「アダプト(適応)」するか述べたものです。当時この本は、コンピューターと情報技術(IT)が、種々の障害者にどのように「アダプト」するかについて書いたため、きわめて重要な著作であると評価を受けました。「Adaptive
Technologies」の第2版は、ALAより、2001年に出版されこの本が鳥原信一氏らにより翻訳され、日本語版の出版となりました。障害者支援技術プロジェクトの安村教授、鳥原氏、中村氏、石田氏に、この本が選択されたことはきわめて名誉に思っています。私は、この本をできるだけ多くの読者に読んでもらいたいと望んでいます。この翻訳本とともに、アジアそして世界中のこういった障害者支援技術に関心を持っていただきたいと思っています。
鳥原氏とはボストンで直接お会いしました。翻訳プロジェクトの安村教授、中村氏、石田氏とも知り合いになりとても幸運でした。
翻訳にあたっては友人信一と私との間での頻繁な電子メールのやりとりによって作業が推し進められました。私たちが出会ったのは、彼が2002年の国際会議参加の後で、ボストンの私の家に立ち寄り、数日間彼が滞在した時でした。我が家に信一を迎えることができたのはよろこびでした。
私は、できるかぎりボストンの大学や障害者施設を案内し、彼と一緒にきわめて充実した時間をすごすことができました。
私は、さらにコンピューターと障害者支援技術の本を出版する予定です。これらの本は、日本の皆様にも関心を寄せていただけるものと確信しております。なぜならば、障害をもつ人に対して、コンピューターの積極的な利用にフォーカスを当てているからです。この種の情報を世界中の人々に伝えることはきわめて重要なことだと思っています。
本日は当セミナーに参加していただきありがとうございます。皆様には私の本を読んで、何らかの意味で役立つことを切に希望します。とくに鳥原信一氏に格別
の感謝をいたします。彼はこの本の翻訳に大変な努力をしました。というのは、私の本の間違の指摘など、翻訳の作業が簡単なものではなかったからです。
ご清聴ありがとうございました。
ご来席の皆様の直接のコンタクトを歓迎します。メール・アドレスはlazzaro@theworld.comです。
最後に再度、鳥原信一氏、安村教授、その他翻訳者に感謝の言葉を贈ります。
ありがとうございました。
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