『杉浦康平と写植の時代-光学技術と日本語のデザイン』(阿部 卓也 著) 『杉浦康平と写植の時代-光学技術と日本語のデザイン』(阿部 卓也 著)

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 第77回毎日出版文化賞 喜び語る受賞者(※会員限定記事)

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■『読売新聞』 2023年7月2日(12面・文化面/本よみうり堂)に書評が掲載されました。評者は、金子拓氏(歴史学者・東京大学教授)です。本文はこちら
■『朝日新聞』 2023年6月17日「著者に会いたい」(17面・読書面)にて紹介されました。本文はこちら
■『毎日新聞』2023年5月13日(15面・読書面/今週の本棚)に書評が掲載されました。評者は、鹿島茂氏(仏文学者)です。本文はこちら(鹿島氏ご自身が運営するサイトに掲載)
■『毎日新聞』 2023年12月16日「今週の本棚」「2023この3冊(上)」(14面・読書面)にて鹿島茂氏(仏文学者)に選んでいただきました。
■『週刊読書人』 2023年12月15日号(第3519号)アンケート特集「2023年の収穫」(3面)にて、柴野京子氏(上智大学教授・メディア論)の印象に残った3点に選んでいただきました。
■『週刊読書人』 2023年7月28日号(第3499号)【特集】〈2023年上半期の収穫から〉(4面)にて、植村八潮氏(専修大学教授・出版学)に挙げていただきました。
■『図書新聞』 2023年7月8日(第3598号)(5面)に書評が掲載されました。評者は、米田綱路氏(『図書新聞』編集者)です。
■『週刊読書人』2023年6月23日(6面)に書評が掲載されました。評者は宮地知氏(組版・DTPオペレータ・WORK STATION えむ代表)です。
■『アイデア』 No.402(2023年 7月号)「新刊紹介」(p.166)にて紹介されました。
■『東京新聞』2023年5月13日(10面)、『中日新聞』2023年5月14日(12面)で紹介されました。

 

コンテンツ

関連イベント動画

【アーカイブ】『杉浦康平と写植の時代 光学技術と日本語のデザイン』(慶應義塾大学出版会)刊行記念 阿部卓也氏×佐藤篤司氏トークイベント

note

【試し読み】『杉浦康平と写植の時代』

 日本を代表するブックデザイナー杉浦康平(1932年‐)は、かつて長い間、事務所を渋谷区・並木橋のマンションに構えていた。渋谷駅からこの事務所に徒歩で行くには、まず恵比寿方面に向かい、並木橋信号で曲がって坂を上っていく。明治通りを行き交う車の排気ガスや真夏の照り返しを避けたいなら、六本木通りから裏道を抜ける行き方もある。ビル街の只中にあっても緑多い、平安時代後期から続く金王八幡宮の参道を横目に、起伏の多い道を歩いていくと、やがてマンションの印象的な茶色い外塀と、クリーム色の外壁が見えてくる……(noteで続きを読む


【寄稿】『杉浦康平と写植の時代』著者書き下ろしエッセイ「ある学生の2つの記憶(1997-1999)」

1997年
 いまはもうずっと昔の、1997年の思い出から始めたい。当時、筆者は都内の美術大学の1年生だった。いまもそうだろうが、デザイン科では毎週のように宿題が課される。その日も、仕上げた実習課題を持って、学内の作品提出用カウンターに並んでいた。当時、制作をパソコンで行ったのか、手書きやインレタ(文字を印刷した転写シール)を使ったのかは思い出せない。テクノロジーの端境期のことで、同じ課題でも学生次第で、手法はアナログだったりデジタルだったり、様々だった。さらに言うと、自分の作品に起きた出来事だったのか、前後に並んでいた同級生の話だったのかも忘れてしまった。……(noteで続きを読む


【記事転載】学術書のデザインを、再発明しよう!

読者に知を届けるための、全ての工夫
 学術書のデザイン、あるいはより広く、ブックデザインとは何か。根本的に言えば、本の内容(=知識)が、デザインに先立ってあらかじめ存在すると考えることはできない。本の価値や意味はどこに宿るのかと問うた時、内容と形式の区別は一般に思われているほど自明ではないからだ。あらゆる知識は、実現するために何らかの具体的「かたち」の次元を必要とする。そしてデザインとは、そうした「かたち」を決定する技能の総称である。学術書というメディアを選択すること自体が、すでにデザイン的判断の一種であり、その意味ではデザイン性のない学術書は存在しない……(noteで続きを読む


 

ブックデザイン

ブックデザイン01

漢字の配列で描かれた杉浦康平の肖像に、透明インクで文字見本帳『写植NOW』の画像が浮かぶ

ブックデザイン02

カバー表1、表4にはUV加工が施され、質感、立体感のコントラストが際立っている

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往年の写植印画紙をオマージュした光沢の表紙

ブックデザイン04
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約500頁の学術論文に、デザイン史や印刷史にまつわる貴重な図版およそ300点が絡み合う

ブックデザイン06

各章扉のリード文は、手動写植機名人の駒井靖夫による、本物の写植印字

  

 

『杉浦康平と写植の時代-光学技術と日本語のデザイン』

『杉浦康平と写植の時代-光学技術と日本語のデザイン』(阿部卓也 著)

宇宙としてのブックデザイン
戦後日本のグラフィックデザインを牽引したデザイナー、杉浦康平。
彼は写植という新たな技術といかに向きあい、日本語のデザインといかに格闘したのか。
杉浦康平が日本語のレイアウトやブックデザインに与えた決定的な影響を明らかにする。

■書籍詳細・ご購入はこちら

  

 

概要・仕様

判型 A5判/上製/488頁
初版年月日 2023/03/31
ISBN 978-4-7664-2880-3
本体 4,400円(本体 4,000円)

  

著者 阿部卓也(あべ たくや)

愛知淑徳大学創造表現学部准教授、デザイナー。
1978年生まれ。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得満期退学。 専門は、デザイン論、メディア論、記号論。
ポンピドゥーセンターリサーチ&イノベーション研究所(IRI)招聘研究員、東京大学大学院情報学環特任講師などを経て、2017年より現職。
著作に、『日本記号学会叢書 セミオトポス11 ハイブリッド・リーディング』(編著、新曜社、2016年)、『デジタル時代のアーカイブ系譜学』(共著、みすず書房、2022年、デジタルアーカイブ学会第5回学会賞・学術賞受賞)、『メディア・リミックス:デジタル文化の〈いま〉を解きほぐす』(共著、ミネルヴァ書房、2023年)などがある。
本書の元になった論文で、第15回立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞受賞。
本書で、第45回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)、 第77回毎日出版文化賞・特別賞受賞。

  

目次

序 章――ある解体
第1章――杉浦デザインの誕生と写植の革命(1956-1964)
第2章――杉浦タイポグラフィの躍進とカタカナ化する世界(1964-1978)
第3章――写植の起源 石井茂吉と森澤信夫Ⅰ(1923-1933)
第4章――写植の起源 石井茂吉と森澤信夫Ⅱ(1933-1945)
第5章――写植と杉浦デザインの深化 石井裕子と中垣信夫(1946-1972)
第6章――ブックデザイナーという発明 杉浦康平と和田誠(1956-1969)
第7章――新書体の時代 中村征宏と写研(1969-2001)
第8章――宇宙としてのブックデザイン 杉浦康平と戸田ツトム(1979-1987)
第9章――「組版」の文化圏 電算写植とCTS(1960-1987)
第10章――写植の終焉と書物の最後の光芒(1987-2001)
終 章――星の本

註・参考文献
あとがき
索引