▼漢学から英学への飛躍、海軍への関心、異国の人々との交流――。 横井小楠の甥・左平太の留学生活と生涯を通して、黎明期の近代日本を描き出す。
本書は、肥後藩士で幕末の思想家として知られる横井小楠の甥・左平太の生涯を、史実に即して描きだすものである。彼は、幕末期に弟の大平とともにアメリカに渡り、さらに維新期にも法制官僚としての使命を帯びて単身再渡米。欧米の軍事技術や法制を身につけ、日本の独立に寄与しようと奮闘した。小楠のもとでの学問と政治的な原体験、アメリカでの詳細な修学状況、肥後藩士や恩師・勝海舟らとの交流を新たな史料に基づいて実証的に追究し、近代黎明期における日本人留学生の実態を明らかにする。

日本歴史 2016年11月号(第822号)「書評と紹介」(p.102)にて書評が掲載されました。評者は、熊澤恵里子氏(東京農業大学教職・学術情報課程教授)です。

はじめに
第一章 横井左平太の訓育 1 横井左平太をめぐる俗説 (1) 横井左平太の名前について (2) 横井左平太の履歴について 2 横井左平太の学び (1) 父時明の死と横井家の境遇 (2) 養父小楠による教育の開始 (3) 視野の広がり (4) 政治への関わり
第二章 横井左平太・大平の修業 1 神戸行き 2 長崎にて (1) 英語の学習 (2) 長崎における横井兄弟の写真 3 長崎出航 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
高木不二(たかぎ ふじ) 大妻女子大学短期大学部名誉教授。博士(史学)。 1949年生まれ。1982年、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。慶應義塾高等学校教諭をへて、1993年、大妻女子大学短期大学部助教授。2001年、同教授。2014年、定年退職。 主要業績として、『横井小楠と松平春嶽』(吉川弘文館、2005年)、『日本近世社会と明治維新』(有志舎、2009年)、『明治維新の新視角 薩摩からの発信』(共著、明治維新史学会編、高城書房、2001年)、『明治維新史研究の今を問う 新たな歴史像を求めて』(共著、明治維新史学会編、有志舎、2011年)などがある。
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