独自の哲学の足跡を辿る。 ▼ホワイトヘッド、クワインの翻訳者としても知られ、戦後、我が国の哲学、ことに論理学・数学基礎論・科学哲学の分野のリーダーとして約半世紀にわたって学界を牽引し続けた、慶應義塾大学名誉教授、故大出晁の学術論文のほぼ全体を集成。 ▼著者の研究足跡を辿れるよう公刊年代順に編集。ラッセル・フレーゲの論理・数学論、集合論・回帰函数論、クワイン論、アリストテレス論(論理)、モデル論、量子論理論、統計的説明と確率論、言語論、科学思想史といった多岐にわたるテーマから著者独自の哲学が、迫力に充ちた威容を見せて立ち現れる。 ▼野本和幸・創価大学名誉教授による詳細な解題付き。
科学哲学 45-1号に書評が掲載されました(中山康雄氏評、65-68頁)。
はしがき 野本和幸 編者解題 野本和幸
1 初等及び一般回帰函数の理論とその適用 2 Principia Mathematica における命題函数T 3 Principia Mathematica における命題函数U 4 La fonction propositionelle de Principia Mathematica 5 「は」と「が」について――日本語の論理構造の問題 6 集合と外苑 7 集合・外延・内包 ……
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【著者】 大出晁(おおいで あきら) 1926年東京生まれ。2005年逝去。慶應義塾大学文学部哲学専攻卒業。1952年よりフランスのパリ大学ソルボンヌ校、アンリ・ポアンカレ研究所、ベルギーのルーヴァン大学哲学研究所にて研究に従事。1958年に慶應義塾大学文学部助教授、65年に同教授に就任。1966年にハーヴァード大学燕京研究所にて研究に従事。慶應義塾常任理事、図書館長、文学部長、大学院文学研究科委員長など歴任。1982年、博士論文「論理と経験世界」にて文学博士号(慶應義塾大学)を取得。1990年に慶應義塾を退職、慶應義塾大学名誉教授。同年、創価大学文学部教授に就任。2001年に創価大学を退職、創価大学名誉教授。 主要著作:『日本語と論理』(講談社、1965年)、『論理の探究』(慶應通信、1980年)、『自然な推論のための論理学』(勁草書房、1991年)、『パラドックスへの挑戦』(岩波書店、1991年)、『知識革命の系譜学』(岩波書店、2004年)、訳書に、クワイン『集合論とその論理』(岩波書店、1968年)、『言葉と対象』(勁草書房、1984年)、ホワイトヘッド『数学入門』(松籟社、1983年)、エラスムス『痴愚礼讃』(慶應義塾大学出版会、2004年)等。
【編者】 野本和幸(のもと かずゆき) 1939年東京都生まれ。国際基督教大学卒業、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士(京都大学)。茨城大学、北海道大学、東京都立大学、創価大学各教授を歴任。現在、東京都立大学、創価大学各名誉教授。在外研究:ACLS研究員(UCLA)、フンボルト財団研究員(ゲッティンゲン)、同欧州研究員(コンスタンツ、オックスフォード)。 主要著作:単著『フレーゲの言語哲学』(勁草書房)、『現代の論理的意味論』(岩波書店)、『意味と世界』(法政大学出版局)、『フレーゲ入門』(勁草書房)。編著『言語哲学を学ぶひとのために』(世界思想社)、『分析哲学の誕生:フレーゲ・ラッセル』(勁草書房)等。共著Logik und Mathematik, de Gruyter, Berlin, 『ゲーデルと20世紀の論理学2』(東京大学出版会)等。 主要訳書:『フレーゲ著作集』(全6巻、編・共訳)、デイヴィドソン『真理と解釈』、ダメット『分析哲学の起源』(共訳、勁草書房)、パトナム『理性・真理・歴史』(共訳、法政大学出版局)、ケルナー『カント』(みすず書房)等。
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