実 践 例
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本書を授業で活用いただいている学校の取り組みを紹介していきます。
テーマ:
子どものための「ことばの時間」の実践
~新しい「外国語活動」の試み
— その1
報告者:埼玉県立蕨高等学校 齋藤菊枝
3 高校生の反応
(ア)授業中の小学生の反応について、あなたはどのように感じましたか。また、「なるほど!・分かった!・そうか!」と小学生が反応したのは、どんな場面でしたか。
表情にすぐ出るから、教える側としてすごくやりやすかったです。
非常に反応が素直ので、授業をやっていて不安はあんまりなかったです。同音異義語の説明のときの反応がもっとも納得していたように思えます。
ことばで説明しても分からなそうだったときに、絵を描いてあげたときに反応してくれました。小学生は高校生とは違ってリアクションが分かりやすいのでおもしろかったです。
分かる?と聞いてうなずいている子がたくさんいたのは嬉しかったです。自分の下手な説明でも理解してくれてありがたかったです。宇宙人の問題で、一つの絵が描けた子に「ほかにもたくさんあるよ」と言うと、「そうか、分かったよ」と答えて次々に絵を描いていました。
ほかの子が間違えたときに、「ちがうよ」って言って、どこが違うのかを説明できたとき、間違えた子が「あっ、そうか」と言っていました。そのとき、私とは違った説明をしてくれたので、そういう説明の仕方もあるんだと関心しました。
最初の10分くらいは反応が少なかったけれど、それからは自分たちが話すたびにかなりよい反応をしてくれたので助かりました。答えが複数ある問題で、最後の一つが分かったときに生徒の反応が大きかったように感じました。
(イ)「ことばの時間」で扱ったトピックで、自分でも興味深い、おもしろいと感じたのはどのトピックでしたか。
◇同音異義語
「山」とか「まとまり」で、文を見たことがなかったので新しい考え方だと感じました。
小学生たちがちょうど国語の時間で「ことば」について学習をしていたらしく、とてもたくさん例を出したくれたから、「ふく」ということばを考えたとき、思った以上に意味がたくさんあり、発見できたとき、とても感動しました。
◇複合語の語順
いつもなにげなく使っているけれど、よく考えると、言葉の語順だけでこんなにも意味が違うということに驚いたし、おもしろいと思いました。
後ろの単語で、そのことばの指すものが分かることがおもしろかったです。
◇茶色い目の大きな犬を飼っている宇宙人
たった1文なのに9通りの意味があるのはすごいなあと思いました。
1つの表現で9パターンも表現できるとは考えもしなかったからです。
こんなにも何通りもの読み取りかたがあるのに驚きました。
小学生だけで9個中7個も出たことにとても感動しました。小学生の絵も「難しい」と言いながらもかわいく描いてくれました。最後に9つの絵を見せたら「なんかつながっている」と言ってくれたり、いろいろなことを発見してくれました。
たくさんの組み合わせがあり、その中にもきまりがあるから。
(ウ)授業を担当することになって事前に勉強したり、実際に小学生に授業を行ったりして、「ことば」に関することで新たに気付いた点などがあれば書いて下さい。
母語だから、こういう授業ができたり、気づくことも多いんだなあと思いました。
普通に使っている日本語の構造の難解さに驚かされました。
複合語やあいまい文の分かりやすそうな例を探しました。
やっぱり日本語だと、生まれたころから育ってきた勘があるのか、少し間違えたことを言う子がいると、理由が分からなくても首をかしげたり顔をくしゃくしゃにしてどこがおかしいのか考えたりしていました。同音異義語は、思った以上にたくさんあったし、間の取りかた一つで、まったく違う意味の異なる文になることなど、まだまだ日本語は難しいと思いました。
たくさんのことに気付きました。最後のことばの音を上げるか、下げるかということだけで意味が変わってきたり、間に読点を打つだけで反対の意味になることなどです。今回、小学生との交流に参加していなければ、こういうことに気付かずに日本語を使い続けていたと思います。
特に「あ!」という発見はなかったけれど、同音異義語に始まり、「茶色い目の・・・」まで、「ことば」は口では説明できないほど深いものだと感じました。
(エ)今日の「ことば」の勉強は、外国語の勉強をするとき(中学校に入って英語の勉強をするときや高校生が英語以外の外国語の勉強をするときなど)に役に立つと思いますか。また、どのように役に立てられると思いますか。
母語をしっかり理解することで、外国語も勉強しやすいと思います。
日本語と外国語の構造の似た点は、僕にはまだ分からないが、言語のおもしろさを感じる足がかりにはなると思います。
日本語のような「ことば」の性質が外国語にもあるかということに興味を持てば、それを調べることでいろいろなことを学ぶことにつながり、役に立つと思います。
この「ことばの学習」は、外国語を学ぶ前に興味や理解を深めるためにやるのがよいと思います。単語の意味とかで、たくさんの意味があることなども理解しておくと、少しは、勉強(文法)に入りやすいと思います。最初から文法に入ってしまうと、いやになっちゃう人が増えて、どんどんだめになっていくと思うので、外国語の楽しい部分(こういう「ことばの学習」)をしてからのほうが英語を好きになる人が増えていくと思いました。
役に立つと思います。なぜなら、今日の「ことば」の勉強は日本語だったので、日本人の私にとっては、当たり前すぎて気付かなかったことばかりでした。だから、語順などは特に気にせずに書いても無意識に正しい語順で文を書けます。しかし、英語などはそうはいきません。しっかり語順などを意識して文を書かないと、外国人に反対の意味を受け取られてしまうかもしれません。けれども、今回勉強した内容は、いろいろなことばでも使えるので、まずは日本語で勉強して、それを英語やフランス語などで使っていければいいと思います。
役立つと思います。日本語ほどではないと思いますが、外国語にも同音異義語やあいまい文などはあるので、日本語でこういうものを学んでおけば、外国語を勉強するときにより分かりやすく学べると思います。
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