時を漂う感染症
国際法とグローバル・イシューの系譜
新垣修著
- 疫病と世界の変容をめぐる170年を描く。
- 感染症への国際的対応を読み解くキーワード、それは「国際法」の歴史にあった。
- ペスト、コレラ、天然痘、エイズ、SARS、新型コロナウイルス…。国際社会において、感染症と国際法がどのように交わり、変化し、次の世代に継承されていったのか。「国際法」というレンズを通して描きながら、現在世界が直面する問題に切り込む意欲作。
- 「ウイルスや細菌などの病原体は人体に侵入して寄生・増殖し、やがて症状を引き起こす。それが、感染症という病である。結核菌や麻しんウイルスといった感染症の病原体は、飛沫核(飛沫から水分が蒸発した小さな粒子)となっても感染性を失わず、空間を漂って移動する。ただし、感染症が漂うのは空間だけではない。コレラ、ペスト、HIV/エイズ、重症急性呼吸器症候群(SARS: Severe Acute Respiratory Syndrome)、エボラ出血熱、新型インフルエンザ、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)。入れ替わり立ち替わり登場し、あるいはその姿を変えながら再登場する感染症が、悠久の時の流れから消えたことはない。時間軸という名の気流に乗り、過去から現在、未来へと間断なく移り動く様は、さながら、「時を漂う感染症」である。」(本書「はじめに」から)