「英語学習は早く始めれば始めるほどよい」。いや、「英語は中学生になってからでも十分間に合う」。 英語教育界の第一線で活躍する論客たちが教科化の流れが加速しつつある<小学校英語>をさまざまな角度から議論し、提言する。
はじめに T 公立小学校での英語教育の意義 小学校英語活動の現在から考える 松川禮子 公立小学校での英語教育 ―必要性なし、益なし、害あり、よって廃すべし 大津由紀雄 Who's afraid of teaching English to kids? 唐須教光 小学校英語教育、言語政策、大衆 和田 稔 早期英語教育をどうする 安井 稔
U 国際理解教育と英語教育 国際理解教育の一環としての外国語 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
編者紹介 大津由紀雄(おおつ・ゆきお) 慶應義塾大学言語文化研究所教授。Ph.D.(MIT, 1981、言語学)。言語の認知科学(言語獲得、言語理解、言語の脳科学)が専門だが、言語教育についても強い関心を持つ。言語教育関係の著書として『小学校でなぜ英語―学校英語教育を考える』(鳥飼玖美子との共著、岩波ブックレット、2002 年)がある。言語科学会会長、日本認知科学会元会長、日本英語学会前副会長。
執筆者紹介(掲載順) 松川禮子(まつかわ・れいこ) 岐阜大学教育学部教授。専門はカリキュラム研究および英語教育。研究開発学校の運営委員として、また文部科学省の教育研究開発企画評価会議協力者として各地の実践事例を見てきた。中央教育審議会外国語専門部会委員。関連する著書に『小学校に英語がやってきた!』『明日の小学校英語教育を拓く』(アプリコット、1997 年、2004 年)、『小学校英語活動を創る』(高陵社書店、2003 年)など。日本カリキュラム学会理事、日本教育情報学会評議員。
大津由紀雄(おおつ・ゆきお) 編者紹介欄参照。
唐須教光(とうす・のりみつ) 慶應義塾大学文学部教授(人文・社会学科英米文学専攻課程。慶應義塾大学、東京大学、Brown University、Yale University などで哲学、言語学、文化人類学等を学ぶ。Ph. D. (Yale University)。専門は言語人類学、社会言語学が、バイリンガリズムや第二言語習得にも関心が強い。関連する著書に『バイリンガルの子供たち』(丸善ライブラリー)、『なぜ子供に英語なのか』(NHK ブックス)などがある。これら の中で、自らの3 人の子どもたちをバイリンガルに育てた経緯にも言及している。
和田 稔(わだ・みのる) 明海大学教授。英語教育に広く興味・関心を持つ。中でも、シラバス研究、タスクに基づいたシラバス、言語評価、言語政策などに現在強い関心を持つ。県教育委員会、(旧)文部省など教育行政の経験がある。いくつかの学会には所属するが、学会活動にはあまり熱心ではない。
安井 稔(やすい・みのる) 東北大学名誉教授。日本英語学会初代会長。「アメリカ構造言語学」や「変形生成文法理論」の日本への紹介者のひとり。英語という言語の特質をさまざまな面から探るとともに、英語教育にも深い関心を持つ。英語学に関する多数の著作のほか、『ランダムハウス大英和辞典』(共編、小学館、1993 年)や『現代英文法辞典』(共編、三省堂、1992 年)等、辞典類多数。
冨田祐一(とみた・ゆういち) 大東文化大学環境創造学部教授。第二言語習得理論と英語教育学を専門としている。最近は「公立小学校の国際理解教育の一環としての外国語会話」に関する仕事にかかわり、理論的枠組みを提案している。関連する著書に『はじめてみよう!小学校・英語活動』(後藤典彦との共編著、アプリコット、2001 年)がある。日本児童英語教育学会理事、日本第二言語習得学会副会長、英語活動研究会代表、NHK「えいごリアン」番組企画委員。
鳥飼玖美子(とりかい・くみこ) 立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科教授。国語審議会、ユネスコ国内委員、中教審などの委員を歴任。日本通訳学会会長。国際翻訳家連盟理事。 大学英語教育学会評議委員。主著に『TOEFL / TOEIC と日本人の英語力』(講談社現代新書)、『歴史をかえた誤訳』(新潮文庫)、『小学校でなぜ英語―学校英語教育を考える』(大津由紀雄との共著、岩波ブックレット)など。専門は英語教育、英語コミュニケーション論。
直山木綿子(なおやま・ゆうこ) 京都市総合教育センターカリキュラム開発支援センター指導主事。京都市立中学校2 校で勤務後、1998 年度より当教育センター(旧京都市立永松記念教育センター)研究課研究員として京都市立小学校で実証授業をしながら小学校英語の研究を行う。小学校の先生方と2002 年11 月に「小学校英語活動 指導計画と活動事例集(試案)」を作成。2003 年2 月には英語活動を進める上での基本的な事柄を「小学校英語活動Q&A ―英語を用いて積極的にコミュニケーションを図ろうとする子どもを育てるための22 のヒント」にまとめ、京都市内小学校全教諭に配付。
三森ゆりか(さんもり・ゆりか) つくば言語技術教育研究所所長。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒。丸紅勤務後、上智大学大学院中退。1990 年つくば言語技術教育研究所開設。麗澤中学・高等学校、(財)日本サッカー協会コミュニケーション・スキル専任講師、朝日カルチャ ーセンター講師など。著書に『論理的に考える力を引き出す』『絵本で育てる情報分析力』(一声社、2002 年)、『イラスト版ロジカルコミュニケーション』(合同出版、2002 年)、『外国語を身につけるための日本語レッスン』(白水社、2003 年)ほか。
福澤一吉(ふくざわ・かずよし) 早稲田大学文学部心理学専修教授。1982 年Northwestern University, 言語病理学Ph.D. 東京都老人総合研究所リハビリテーション医学部言語聴覚研究室(現言語認知部門)研究員を経て、1990 年より現職。専門領域は言語病理学、認知神経心理学。 著書『認知科学の新展開4 イメージと認知』(分担執筆、岩波書店)、『よくわかる失語症と高次脳機能障害』(分担執筆、永井書店)、『議論のレッスン』(NHK 生活人新 書、2002 年)ほか。学部では、科学的考え方の基礎として論理トレーニング系の科目を担当している。
國弘正雄(くにひろ・まさお) 英国エジンバラ大学特任客員教授。「同時通訳の神様」として知られる。NHK 教育 テレビ講師を経て、文化放送「百万人の英語」講師など。また、この間、日本テレビ 解説・ニュースキャスターを務めた後、三木内閣時に外務省参与として第1 回・第2 回先進国サミットなど、外交交渉の舞台で活躍。1989 〜 1995 年、参議院議員。最近 の英語関係の著書・訳書としては、クリスタル『地球語としての英語』(みすず書房、 1999 年)、『國弘流 英語の話しかた』(たちばな出版、1999 年)、『英会話・ぜった い・音読』(講談社インターナショナル、2000 年)がある。
安西祐一郎(あんざい・ゆういちろう) 慶應義塾長。北海道大学文学部行動科学科助教授等を経て、1988 年慶應義塾大学 理工学部教授。1993 年〜 2001 年理工学部長・大学院理工学研究科委員長。2001 年より現職。研究分野は情報科学、認知科学。主な著書に、『情報の表現と論理』(共 著、岩波書店、2003 年)、『認知科学の新展開1 〜 4』(共編、岩波書店、2001 年)、 『認識と学習』(岩波書店、1989 年)、『問題解決の心理学』(中央公論社、1985 年)ほ か
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