慶應義塾機関誌

 三田評論
  明治31年3月創刊(毎月1回1日発行)
   発行:慶應義塾 編集人:慶應義塾広報室長 編集・制作:慶應義塾大学出版会

慶應義塾の風景
三田評論表紙
2016年7月号表紙


space今月の特集spaceKEIO PHOTO REPORTspace立ち読みspace三田評論とはspace次号予告space前号紹介spaceバックナンバーspace講読方法space
  メインページ->立ち読み  
  慶應義塾史跡めぐり    
     
  第91回──三田評論 2014年6月号    
 

陸上・水上運動会の変遷

 
 
 
     
  大澤輝嘉(慶應義塾中等部教諭)  
     
 

12
 
 

 今日、運動会というとグラウンドで多くの人が運動競技や遊戯を楽しむ行事として認識されているが、この言葉が使われ始めた明治十年代から二十年代は、遠足やピクニックを指すという、いささか趣の異なる使われ方をされていた。その時代、明治二十年代半ばから、陸上だけでなく水上運動会を義塾では執り行っていたのである。

 

草創期の陸上運動会

 義塾で最初の運動会(陸上競技会)が実施されたのは、明治十九(一八八六)年六月六日、場所は三田山上の運動場、現在の西校舎前から大学院棟のある辺りで、元島原藩の馬場であった。この年、帝国大学(現東京大学)および第一高等中学校は二回目の運動会を五月二十九日に開催していることから、義塾はそれより約一週間遅れて最初の運動会を開催したことになる。その後、明治二十三、四年のころまでは、春に陸上の競技会を、秋に遠足会を行っていた。


水上運動会の開始

 秋の遠足会に代わって、明治二十五年十月十六日に、体育会端艇部主催のボート競技会として、袖ヶ浦(現在の芝浦沖、旧芝田町九丁目、高輪の大木戸の北東沖)で開催されたのが水上運動会と称される行事の第一回であった。この年は、いみじくも義塾の体育競技団体を総合する組織である体育会が創設された年でもあった。時事新報社からの賞品なども出て賑わった行事となった。



袖ヶ浦周辺略地図


 その後、端艇部では二十七年と三十年にそれぞれボート三雙ずつを新調し、三十一年三月には芝浦製作所内に艇庫も竣工し、競漕会は一層賑わいを増したのである。
この頃話題になったのが、水上運動会にやや先立って行われていた陸上運動会との開催時期の問題であった。当初は五月の上旬または中旬に行われていた陸上運動会の時期は雨天の場合が多く、準備に手間のかかる陸上運動会には都合が良くないので、雨の少ない秋に変更して、逆に水上運動会を春に移行しようというものであった。
そして翌三十二年からは、春季に水上運動会を、秋に陸上運動会をそれぞれ開催するようになった。



 その後またこれを変更し、同四十二年から大正十一年に至る十四年間は春に陸上、秋に水上を行っていたが、同十二年から、再々度変更し、春水上、秋陸上となり、戦後に至るまでこれが引き継がれていった。
競技種目としては、全塾運動会は、長距離、短距離を問わずの各競走やフィールド競技が、水上運動会では、ボートレースや「たらいレース」が実施された。




昭和34 年度水上運動会でのクラス対抗「たらいレース」


 

line

 

これまでの史跡めぐり
本連載は終了しました。
バックナンバーをご紹介しています。

第102回
三田通り周辺


2015年8・9月合併号掲載

第101回
武藤山治


2015年7月号掲載

第100回
金玉均


2015年6月号掲載

第99回
大講堂


2015年4月号掲載

第98回
阿部泰蔵と門野幾之進


2015年3月号掲載

第97回
日吉キャンパスの遺構と施設


2015年2月号掲載

第96回
学食の変遷


2014年12月号掲載

第95回
神津家の人々


2014年11月号掲載

第94回
水上瀧太郎
──文学と実業の二重生活


2014年10月号掲載

第93回
関東大震災とキャンパス
──三田・四谷の被害と復興


2014年8・9月号掲載

第92回
堀口大學


2014年7月号掲載

第91回
陸上・水上運動会の変遷


2014年6月号掲載

第90回
平和来
──卒業二十五年塾員招待事始夫


2014年5月号掲載

第89回
望郷詩人──南紀の佐藤春夫


2014年4月号掲載

第88回
下田グラウンド


2014年3月号掲載

第87回
予防医学校舎と食研
──空襲の痕跡


2014年2月号掲載

第86回
新田運動場


2014年1月号掲載

第85回
越後 ──西脇順三郎と吉田小五郎


2013年12月号掲載

第84回
修善寺 ──幼稚舎疎開学園


2013年11月号掲載

第83回
神宮球場


2013年10月号掲載

第82回
富士見高原
──空気はよし風俗は朴素なり


2013年8・9月号掲載

第81回
みちのくの史跡を訪ねて
──能代・弘前・木造


2013年7月号掲載

第80回
紀州和歌山と義塾の洋学


2013年6月号掲載

第79回
福澤先生と演劇──三つの劇場と三人の歌舞伎役者


2013年5月号掲載

第78回
ヨネとイサム・ノグチ──二重国籍者の親子


2013年4月号掲載

これ以前の連載はこちら

 
 
   
line  
 
 
 
  12  
 
TOPへ戻る
 

 

 
Copyright (C)2004-2010 Keio University Press Inc. All rights reserved.