慶應義塾機関誌

 三田評論
  明治31年3月創刊(毎月1回1日発行)
   発行:慶應義塾 編集人:慶應義塾広報室長 編集・制作:慶應義塾大学出版会

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  慶應義塾史跡めぐり    
     
  第53回    
 

綱町グラウンド(上)

 
 
 
     
  大澤輝嘉(慶應義塾中等部教諭)  
     
 

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早慶戦百周年記念碑

 早慶戦百周年記念を記念し、第一回早慶戦からちょうど百年目の平成十五(二〇〇三)年十一月二十一日に除幕された。除幕式では早稲田からの挑戦状と、慶應からの返書の交換が再現され、諸先輩への黙祷も捧げられた。


 明治二十一(一八八八)年、慶應義塾大学体育会野球部の前身である三田ベースボール倶楽部が誕生し、遅れること十三年、同三十四年に早稲田大学野球部が誕生する。そして、同三十六年十一月五日に早稲田から、「(早稲田の)選手皆幼稚を免れず候に就ては近日之中御教示にあづかり以て大に学ぶ所あらば素志此上も無之候」との正式の挑戦状が送達され、それに対して義塾も、「貴校と当校とは是非共マッチを致す可き者」と応答したことから、十一月二十一日に綱町グラウンドで記念すべき初めての試合が開催されることが決まった。

 

 試合当日の天気は快晴。早稲田の選手たちは朝から下駄を鳴らしながら戸塚村(現在の早稲田)を出発、三田までの約十三キロの道を歩いて来たという。


 『時事新報』の記事では、「慶應義塾対早稲田大学野球試合は昨日午後一時より綱町蜂須賀侯爵邸内運動場に於て催されたるが、初対面のこととて勝敗何れとも予想されず、殊に慶應の方には宮原、時任なんといふ所謂東海道武者修業連あり、早稲田の方には往年神戸にて外人と戦いて名を博せし泉谷、また第一高等学校を破りたる橋戸等の剛の者あるを以て各選手の意気ごみは云ふまでもなく、実に満都野球界の注目して私立学校の模範試合となす所なりし。さればにや、各学校よりの見物人約数千人と註せられ非常なる盛会なりしが」云々と紹介された程、注目され た初対決となった。


 約三千人の観衆を集め、午後一時三十分試合開始。審判は一高選手の黒田昌恵。慶應櫻井彌一郎、早稲田河野安通志の両エースの投げ合いで始まった試合は、慶應十七安打、早稲田十三安打という、試合時間一時間五十七分に亙る大接戦の末、十一対九で義塾が早稲田を制した。好勝負になったことと意外に人気を集めたことから、両チームは翌年より春と秋に一試合ずつ早慶戦を行うことを取り決め、再会を約した。そしてこの一戦を契機に、私学両雄による「慶早戦」はたちまち野球ファンの心をつかみ、社会的な注目を集めることになった。

 

蝦蟇塚
早慶戦100周年記念碑

 

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みちのくの史跡を訪ねて
──能代・弘前・木造


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第80回
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2013年5月号掲載

第78回
ヨネとイサム・ノグチ──二重国籍者の親子


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