ウィトゲンシュタインの教育学
後期哲学と「言語の限界」
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「語りえぬもの」、その先へ
『論考』で沈黙した哲学者は、「教育」を手がかりに再び語り出す。 新進気鋭の若手が描く、「第三のウィトゲンシュタイン」
▼語りえぬものは、伝ええぬものであるとは限らない――
『論考』によって「語りえぬもの」を設定し、「語る」ことに制約を課したウィトゲンシュタイン。 経ることおよそ10年、止むことなき哲学的思考はついに「言語の限界」の地平をにらみ、自ら建設した巨大な「沈黙」の体系に挑み始める。 ウィトゲンシュタイン後期思想を繙く鍵である「教育学」。 コミュニケーションに内在する宿命的なパラドクスを解きほぐし、「教えること」の意味を根底から問い直す。 私と世界の限界を超えて、他者に触れうる可能性を提示する意欲作。
教育学研究 2018年12月号(第85巻 第4号)(p.88〜p.90)に書評が掲載されました。評者は丸山恭司氏(広島大学大学院教授)です。
出版ニュース 2017年9月下旬号「ブックガイド」(p.29)にてご紹介いただきました。
プロローグ
第1章 ウィトゲンシュタインと教育学 1 問題の設定 2 ウィトゲンシュタインと分析的教育哲学 3 教育学におけるウィトゲンシュタイン研究
第2章 教育の言語ゲーム 1 言語ゲームの両義性 2 原初的言語ゲームへの懐疑 3 教育の言語ゲームの特質
第3章 イニシエーションと訓練 1 イニシエーションと学習のパラドクス 2 訓練をめぐる対立 3 訓練の原初性
第4章 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
渡邊福太郎(わたなべ ふくたろう) 1981年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。現在、慶應義塾大学文学部助教。専門は教育哲学・教育思想。共著書に『西洋教育思想史』(慶應義塾大学出版会、2016年)、論文に「言語ゲームへのイニシエーションとしての教育」(『教育哲学研究』第104号、2011年)、共訳書にシュネーデルバッハ『ドイツ哲学史 1831-1933』(法政大学出版局、2009年)、ヴィンセント『マス・リテラシーの時代』(新曜社、2011年)など。
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