〈社会理論〉は歴史研究に何の役にたつのか? 歴史研究と社会理論研究には、各々「過去と個性」、「現在と一般性」を重視するという研究スタンスの違いがある。そこからくる偏見や確執により不明瞭になっているこの問いに、文化史研究の第一人者ピーター・バークが明快に答えた名著の本邦初訳。 現代歴史学とその周辺分野の見取り図として必携の一冊。
待望の第2版の刊行が決定しました! 詳しくはこちらへ
日本経済新聞 2006年5月14日朝刊「書評」欄で紹介されました。
序文 第一章 理論家と歴史家 耳の悪い者同士の対話 歴史学と社会学の分化 過去の無視 社会史の興起 理論と歴史の収斂
第二章 モデルと方法 比較 モデルと類型 数量的方法 社会的顕微鏡
第三章 中心的な諸概念 社会的役割 性とジェンダー 家族と親族 コミュニティとアイデンティティ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
ピーター・バーク(Peter Burke) ケンブリッジ大学名誉教授。 1937年生まれ。ケンブリッジ大学名誉教授、イマニュエルカレッジの名誉校友(フェロー)。オックスフォード大学卒業後、同大学聖アントニーカレッジで研究、博士論文執筆中にサセックス大学に招聘される。同大学で16年間の教員勤務の後、ケンブリッジ大学に移り、文化史講座教授を長く担任。 New Cultural History を提唱し、「文化史」概念を刷新。ヨーロッパ史家、文化史家として世界的に著名な歴史家。 著書(邦訳)に、『イタリア・ルネサンスの文化と社会』、『ルイ14世―作られた太陽王』、『知識の社会史―知と情報はいかにして商品化したか』など多数。
訳者 佐藤公彦(さとう きみひこ) 東京外国語大学外国語学部教授。 1949年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。中国近代史・東アジア国際関係史専攻。 著書に、『義和団の起源とその運動―中国民衆ナショナリズムの誕生』、『続中国民衆反乱の世界』(共著)、『宗教の比較文明学』(共著)、『黒旗軍―十九世紀中国の農民戦争』(翻訳)など。
本書の一部をご覧いただけます
本書は一見やさしそうに見える二つの問いに答えようとする試みである。それは、社会理論は歴史家にとって何の役に立つのか、という問いと、歴史は社会理論家にとって何の役に立つのか、という問いである。わたしがこれらの問いの「一見やさしそうに見える」と言うのは、この表現はその背後にかなり重要な違いを隠しもってい ……
|