源氏物語の政治と人間
序に代えて
政治の季節のその後 一 冷泉朝下の光源氏 ――太政大臣と後宮の問題をめぐって―― はじめに 一 『源氏物語』の太政大臣 二 歴史上の太政大臣 三 太政大臣の就任と退任 四 王朝の強化と後宮の役割 五 光源氏と道長に共通するもの おわりに
二 冷泉朝の始発をめぐって ――貞観八年の影―― はじめに 一 六十三歳の摂政――貞観八年の影―― 二 藤原基経と頭中将――貞観八年のもう一つの影―― 三 藤原時平と柏木――三代にわたる重層構造―― 四 源融と光源氏――皇位継承の可能性―― 五 忠仁公の影の払拭――上塗りされた藤原頼忠像―― おわりに
三 女三宮と柏木 ――造型・主題・史的背景 はじめに 一 女三宮の降嫁が招来するもの 二 女三宮の人物像と主題との関係 三 柏木と紅海――第一部から第二部へ―― 四 柏木の恋と太政大臣家の立場 五 太政大臣となり隠棲すること――解釈の異見―― 六 柏木と夕霧――六条院体制の侵犯者―― 七 史実の藤原摂関家と致仕太政大臣家 おわりに
四 『源氏物語』における摂政・関白と大臣 はじめに 一 太政大臣について 二 左大臣・右大臣について 三 内大臣について 四 摂政・関白について おわりに
編年体と列伝体
五 『源氏物語』の編年体的考察 ――光源氏誕生前後―― はじめに 一 記述の方針と歴代王朝の概観 二 前四〇年代・前三〇年代 三 前二〇年まで 四 前一〇年まで 五 光源氏誕生前年まで 六 光源氏誕生以後 おわりに
六 『源氏物語』の列伝体的考察 ――頭中将の前半生―― はじめに 一 三条左大臣の誕生から結婚まで 二 頭中将・葵の上の誕生の頃 三 二条右大臣家の状況 四 頭中将の結婚とその前後 五 青年期の頭中将の官職 六 二条右大臣家と頭中将 おわりに
七 『源氏物語』前史 ――登場人物年齢一覧作成の可能性―― はじめに 一 登場人物年齢一覧表に向けて 二 有史以前の大臣たち 三 天皇家をめぐる状況 四 両統迭立の問題 おわりに 年齢一覧表
作品を形成するもの
八 大宰府への道のり ――『源氏物語』と『高遠集』から―― はじめに 一 大宰府への陸路 二 『源氏物語』の大宰の大弐 三 『源氏物語』の大島は筑前か 四 『大弐高遠集』に見る大宰府往還時の地名 おわりに
九 竹河巻紫式部自作説存疑 はじめに 一 竹河巻別筆説の終息 二 今井竹河論の重要性 三 竹河巻所収歌と『紫式部集』歌 四 左大臣をめぐる問題 五 太政大臣にて位を極むべし 六 尚侍という呼称 おわりに
十 『蒙求和歌』と『源氏物語』 はじめに 一 「董永自売」と帚木 二 「西施捧心」と夕顔 三 「蔣詡三径」「原憲桑枢」と蓬生 四 「樊会排闥」「漂母進食」と花散里 おわりに
近代における享受と研究
十一 桐壺院の年齢 ――与謝野晶子の「二十歳」「三十歳」説をめぐって―― はじめに 一 与謝野晶子の桐壺院の年齢推定 二 一院・先帝・桐壺院 三 「二十歳」か「三十歳」か おわりに
十二 『校異源氏物語』成立前後のこと はじめに 一 『校異源氏物語』底本の変更 二 松屋百貨店の展示 三 谷崎源氏の成功 四 谷崎源氏の月報と校異源氏の予告 五 『校異源氏物語』の刊行 おわりに
十三 『源氏物語』と『日本文学全集』 ――戦後『源氏物語』享受史一面―― はじめに 一 谷崎源氏・舟橋源氏など 二 『日本国民文学全集』の主張 三 古典から近代までの『日本文学全集』 四 『国民の文学』の変質 五 与謝野源氏の決定版――豪華版『日本文学全集』―― 六 最後の光芒――カラー版『日本文学全集』―― 七 古典の消滅――グリーン版『日本文学全集』―― おわりに
初出一覧 あとがき 索引
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