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目次
ベンサムの言語論
A5判/上製/512頁
初版年月日:2017/08/18
ISBN:
978-4-7664-2449-2
 
(4-7664-2449-2)
Cコード:C3010
税込価格:9,350円
ベンサムの言語論
功利主義とプラグマティズム

目次

 序論
  第1節 本書の目的と意義
  第2節 本書の研究に関わる先行研究の状況
  第3節 本書の構成

第一部 ベンサム思想体系の哲学的基礎
 第1章 言語論と論理学
  第1節 〈方法〉の改革者
  第2節 科学方法論としての論理学
  第3節 哲学的前提をめぐる問題
  第4節 言語論のプラグマティズム的含意
   1 パラフランシス
   2 実態の分類
   3 現実的実体とフィクション的実体の関係性
   4 認識の発展を支えるフィクション
   5 言語の論理的歴史
  第5節 科学観と科学方法論

 第2章 快楽主義心理学と功利主義倫理学
  第1節 快楽主義心理学
   1 快苦に対する人間の従属
   2 それは「利己主義的」理論か?
   3 動機の種類と快苦の源泉
   4 「最良の判定者」テーゼと人間の不合理性をめぐる洞察
  第2節 功利主義倫理学
   1 「功利性の原理」のパラフランシス的説明
   2 「ヒュームの功利主義」に対する批判
   3 原理の名称と定式の変遷
   4 「功利性の原理」の正当性
   (1) 「禁欲主義の原理」に対する批判
   (2) 「共感と反感の原理」に対する批判
   (3) 「功利性の原理」は万人にとって同意可能な原理か?
   (4) 「快楽−苦痛」の量は万人にとって検証可能な基準か?
  第3節 快楽主義心理学と功利主義倫理学の関係性

 第3章 言語論の思想史的考察
  第1節 「言語論的転回」の先駆者か? 「プラグマティズム的転回」の先駆者か?
  第2節 啓蒙期言語思想の一系譜
   1 ベーコン
   2 ロック
   3 コンディヤック
   4 トゥック
  第3節 ベンサムの独創性

第二部 ベンサムの「法の科学」と「自由な国家」の構想
 第4章 「批判的法学」とコモン・ロー批判
  第1節 一八世紀後半のイギリス法の状況と法学者ベンサムの課題
  第2節 「批判的法学」と功利性の原理
   1 法の功利性、周知性、明示された合理性
   2 「誠実」の義務とベンサム版「自由の原理」
   3 立法の四つの副次的目的
   4 立法論のリベラルな性格
  第3節 コモン・ロー批判
   1 コモン・ロー理論に対する批判
   2 コモン・ローという法の形態に対する批判

 第5章 「普遍的法学」と論理学
  第1節 法的諸概念の定義と「秩序化」
   1 プラグマティズム的な定義としての「法=主権者命令」説
   2 「義務」、「権利」、「正義」、「自由」の定義
   3 「法の科学」における形而上学=論理学としての「普遍的法学」
  第2節 犯罪の自然的分類
   1 法の「刑法的部分」と「民法的部分」
   2 違反行為の「自然的分類」

 第6章 人権宣言批判と「自由な国家」の構想
  第1節 人権宣言批判の諸論点
  第2節 人権宣言批判の核心
  第3節 功利性の原理と「自由な国家」の構想

第三部 ベンサムの民主主義理論と「言葉の戦争」
 第7章 幻惑と謬論
  第1節 「シニスター・インタレスト」と「幻惑」の発見
  第2節 『謬論の書』における「言葉の戦争」
   1 政治的謬論との戦い
   (1) 「権威の謬論」との戦い
   (2) 「危険の謬論」との戦い
   (3) 「遅延の謬論」との戦い
   (4) 「混乱の謬論」との戦い
   2 謬論が普及する政治的・社会的背景
   3 謬論の生成・普及のメカニズム
   4 「言葉の戦争」の困難さ

 第8章 幻惑とデオントロジー――私的倫理論の発展
  第1節 私的倫理という問題
  第2節 初期の私的倫理論
  第3節 「イデオロギー」としての実定道徳
  第4節 『デオントロギー』と『行為の動因の一覧表』における私的倫理の構想
   1 「デオントロジスト」と後期私的倫理論のアウトライン
   2 〈道徳言語の批判と改革を通じた実定道徳の脱幻惑化〉という企て
   (1) 幻惑による実定道徳の堕落
   (2) 言語を濫用する独断主義者たち
   (3) 幻惑の所産としての「言語の不完全さ」
   (4) 道徳的・心理学的諸概念の再定義
   (5) 〈動機の善し悪し〉という誤った観念
   (6) 動機に関する批判的・感情喚起的な呼称に対する批判
   (7) 行為の動因の一覧表
   3 〈魅力的な功利主義像の提示を通じた実定道徳の適正化〉という企て
   (1) 「容易になった道徳」としての功利主義
   (2) 功利主義における〈徳の理論〉
   (3) 〈善行≒慎慮〉論の必要性
   (4) 「他者に関わる慎慮」・「共感的サンクション」・「一般好意基金」
  第5節 統治功利主義から包括的功利主義へ

 第9章 『憲法典』の民主主義理論と多数者専制問題
  第1節 『憲法典』における代議制民主政体の構想
  第2節 代議制民主政体の正当化論と「シニスター・インタレスト」をめぐる問題
   1 功利主義的正当化の諸形態
   2 普遍的利益・特殊的利益・「シニスター・インタレスト」
   3 「シニスター・インタレスト」をめぐる問題
  第3節 「立法権の全能」をめぐる問題
  第4節 世論法廷と私的倫理論

補論 デューイとベンサム
  第1節 はじめに
  第2節 『哲学の再構成』におけるデューイの思想
   1 プラグマティズムと「哲学の再構成」
   (1) 哲学の起源と歴史
   (2) プラグマティズムの認識観
   (3) 哲学の再構成
   2 功利主義やベンサム思想への評価
   (1) 功利主義一般に対する評価
   (2) ベンサムの思想に対する評価
  第3節 デューイのプラグマティズムとベンサム思想の比較
   1 両者の類似点
   2 両者の相違点

結論

 あとがき

 索引
 ジェレミー・ベンサム略年譜
 参考文献
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