三田評論

明治31年から続く慶應義塾の機関誌

No.1244(2020年5月号)

特集

新・読書論

三田評論

─ 表紙絵:清川泰次 ─

税込価格:451円(本体410円)在庫あり

定期購読:4,700円(税・送料込)

在庫について

配送料について

定期購読の申込み

寸描2020年5月号について

三田評論5月号

三田評論
2020年5月号表紙

古来5月は「恋の月」。フランス最古の恋愛詩に、12世紀吟遊詩人ジャウフレ・リュデルの「5月に日が長くなるとき」がある。まだ会ってもいない貴婦人に恋い焦がれる十字軍戦士の煩悶。脚韻の「遠い」という語「lohn」(ローン)がしつこく反復され、何とも物憂い気分を醸し出す。キャンパス閉鎖を背景に編集された本五月号は、特集「新・読書論」を組み、アナログからデジタルまで、「古典」を中心にいつにない多様な世界を現出させた。リュデルの詩をはじめ、古典作品は「遠い」過去に連なる文学である。翻って今回の災害は、私たちの空間感覚を一挙に地球規模にまで拡大し、人同士の間隔を広げ、「テレワーク」(「テレ」は「遠距離」を意味するギリシア語系の接頭語)や「遠隔授業」を余儀なくさせた。「lohn」は刻々鳴り響いている。時間の懸隔にせよ、空間の距離にせよ、本号の取り組みは、文化の新しい形をめぐる貴重な提言になりそうだ。

鷲見洋一

特集新・読書論

新・読書論

「ステイホーム」を強いられ、不自由な日々が続いています。このような期間、じっくりと読書に取り組むのも一案です。特に「古典」という普段はなかなか触れにくいものに接してみるよい機会かもしれません。ITが発達し、AI時代に入るとも言われる今日、読書の形はどのように変わる/変わらないのか。様々な形で「読書」を論じてみた特集です。

座談会
AI時代に古典を読む

ロバート キャンベル
日本文学研究者、国文学研究資料館長
林 望
作家、書誌学者・塾員
駒井 稔
光文文化財団常務理事、「光文社古典新訳文庫」創刊編集長・塾員
小平麻衣子
慶應義塾大学文学部教授(司会)
 

関連記事

「完全な読書」が消える未来?
佐藤卓己
京都大学大学院教育学研究科教授
経験としての読書──環境から見る本の未来
柴野京子
上智大学文学部新聞学科准教授
読書論の現在──教育の中の読書
山梨あや
慶應義塾大学文学部教育学専攻教授
「大正知識人」としての小泉信三
武藤秀太郎
新潟大学経済科学部准教授

読書の風景

子どもと〝本のたのしみ〟を分かち合う
松岡享子
公益財団法人東京子ども図書館名誉理事長・塾員
検索時代にリアルな本との出会いの場を作る
幅 允孝
ブックディレクター、有限会社バッハ代表・塾員
〝読書会〟という読書のかたち
瀧井朝世
ライター・塾員
電子書籍の現在と未来
松井康子
株式会社パピレス代表取締役社長・塾員

私にとっての古典

とっぴな楽しみ
湯川 豊
文芸評論家・塾員
古典との対話
阿川尚之
同志社大学特別客員教授、慶應義塾大学名誉教授
古典と現在の狭間で
堀 茂樹
翻訳家、慶應義塾大学名誉教授
周辺部を読む「古典」
橋本陽介
お茶の水女子大学助教・塾員
人類の智慧の宝物庫
藤谷道夫
慶應義塾大学文学部教授[イタリア文学]

2019年度大学学部学位記授与式
塾長式辞

長谷山 彰
慶應義塾長

話題の人
「独立自尊」の気風が育んだ嵐の20年

櫻井 翔さん

櫻井 翔さん

タレント・塾員

インタビュアー:石川俊一郎(慶應義塾名誉教諭)

幼稚舎から義塾に学び、普通部時代より芸能活動をおこなってきた嵐の櫻井翔さん。15年近く「news zero」のキャスターも務めるなど、活躍の場を多方面に広げてきました。慶應義塾でつちかった「独立自尊」の精神がどのように生かされてきたのか。嵐の活動休止が予定されている本年、その20年の軌跡を語っていただきました。

三人閑談
キャンパスの植栽

〝キャンパスの植栽

緑深まる5月。本来なら慶應のキャンパスの緑を眺めるにももってこいの季節ですが、残念ながら閉鎖中のキャンパスではそれも適いません。そのような時期だからこそ、三田、そして日吉の植栽について、樹木医の方も交えて語ってみました。慶應の歴史は三田の大イチョウや日吉のイチョウ並木など、その植栽にも深く刻まれています。

細野哲央
一般社団法人地域緑花技術普及協会代表理事、樹木医・塾員
澤藤正哉
慶應義塾日吉キャンパス事務センター運営サービス担当(用度)課長
岩淵 聡
慶應義塾管財部職員
時の話題
ブレグジットの後で
英国のEU離脱は歴史の必然か? 坂本達哉
英国とEUの関係はこれからどう変化していくのか 小林規一
開かれた学界の今後 中島千鶴
連載
福澤諭吉をめぐる人々その46 富田正文 大久保忠宗
写真に見る戦後の義塾48 農業高校時代の志木高 大舘 信
その他
巻頭随筆 丘の上 ────
中国と石川忠雄先生が結んだ縁 大橋洋治
日吉寄宿舎の青春 清浦奎明
喜寿を迎える「回遊魚」 清水 透
2020年度収支予算から見た義塾財政
髙橋郁夫
執筆ノート ────
『映画ノベライゼーションの世界──スクリーンから小説へ』 波戸岡景太
『明治憲法下の立憲主義者──清浦奎吾研究』 小野修三
『自由なき世界──フェイクデモクラシーと新たなファシズム』 池田年穂(訳)
『「間合い」とは何か──二人称的身体論』 諏訪正樹
Researcher’s Eye ────
「環境に良い」を考える 一ノ瀬大輔
SNS時代の相互扶助のかたち 柳瀬典由
塾員クロスロード ────
ある料理漫画の逆転劇 小川悦司
Mリーグ「見みる雀」のススメ 園田 賢
社中交歓 ────
黒板 鶴岡彩香、足立修一、坂部由紀子、柊原礼士
ヒサクニヒコのマンガ何でも劇場 special ────
ヒサ クニヒコ
寸描(鷲見洋一)、山上広場、塾長室日誌(2020年3月)、塾内ニュース、三田会だより、慶應〝塾〟語事典、寄付・維持会申込者芳名
  • 2020年三田評論5月号
  • 2020年三田評論4月号
  • 2020年三田評論3月号
  • 2020年三田評論2月号
  • 2020年三田評論1月号
  • 2019年三田評論12月号
  • 2019年三田評論11月号
  • 2019年三田評論10月号
  • 2019年三田評論8・9月合併号
  • 2019年三田評論7月号
  • 2019年三田評論6月号
  • 2019年三田評論5月号
  • 2019年三田評論4月号
前号紹介2020年4月号 No.1243

ジェンダー・ギャップに立ち向かう

さらに詳しく見る

次号予告2020年6月号 No.1245

福澤諭吉と統計学

さらに詳しく見る

慶應義塾維持会

慶應義塾維持会

母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。

さらに詳しく見る

BOOKS慶應義塾大学関連の書籍

  • 應義塾 歴史散歩 キャンパス編
  • 慶應義塾 歴史散歩 全国編
  • 福澤諭吉 歴史散歩
  • 小泉信三エッセイ選 1 善を行うに勇なれ
  • 小泉信三エッセイ選 2 私と福澤諭吉
  • 應義塾 歴史散歩 キャンパス編
  • 慶應義塾 歴史散歩 全国編
  • 福澤諭吉 歴史散歩
  • 小泉信三エッセイ選 1 善を行うに勇なれ
  • 小泉信三エッセイ選 2 私と福澤諭吉