「ゆで卵の逆説」におまけ、慶大が「ジャンプ」を証明


 横にしたゆで卵を水平方向に高速で回転させると、卵が起き上がる過程で、ほんの少しジャンプすることを慶応大学の下村裕教授らの研究グループが測定装置を使った実験で証明した。12日付の英王立協会紀要(電子版)で発表する。
 研究グループは、卵を高速回転させる装置を開発。ジャンプすることをはっきり確かめるため、ラグビーボール状の金属球(長径6センチ)を使い、ジャンプした後に落ちる音やその際の映像、テーブル面の銅板に蓄えられる電気容量の変化などを分析した。
 金属球を1分間で約1500回転させると、開始後1・2秒後に起き上がるまでに、計6回、最大で0・1ミリ・メートルジャンプすることがわかった。ゆで卵そのものを使った実験でも、同様に浮くことを確認できた。
 ゆで卵をコマのように回すと起き上がる現象は「ゆで卵の逆説」と呼ばれ、世界の物理学者を悩ませてきた難問だった。研究グループは、その科学的解明に挑戦、2002年、数式で初めて証明した。さらに昨年、卵が立ち上がろうとする過程で、上下の振動を繰り返し、ジャンプすることも予測、今回、証明実験に挑んだ。
 下村教授は「重力に逆らう不思議な現象だが、上下の振動が激しくなるなかで、 上に働く力の加速度と重力加速度が等しくなった時点で跳ぶことが科学的に証明できた」と話している。

 

(2006年4月12日8時19分 読売新聞より)
 
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