『ジャーナリズム』(朝日新聞出版 2009年12月号)に掲載されました!
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『グーテンベルクからグーグルへ 文学テキストのデジタル化と編集文献学』ピーター・シリングスバーグ 著 明星 聖子 訳 大久保 譲 訳 神崎 正英 訳
 
 
   
 グーテンベルクからグーグルへ 文学テキストのデジタル化と編集文献学 ピーター・シリングスバーグ 著 明星 聖子 訳 大久保 譲 訳 神崎 正英 訳
 

グーテンベルクからグーグルへ
      --文学テキストのデジタル化と編集文献学

    
 
    
ピーター・シリングスバーグ 著
明星 聖子、大久保 譲、神崎 正英 訳
    
A5判/上製/374頁
初版年月日:2009/09/25
ISBN:978-4-7664-1671-8
定価:3,360円
  
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「デジタル化」 を考える際の必読書・基本書

▼「グーグルブック検索」 の衝撃とそれに伴う議論の沸騰においても見落とされている議題(文学テキストのデジタル化の問題点と可能性、テキストをめぐるコミュニケーションの変容)について、本質的な議論を展開。

 From Gutenberg to Google: Electronic Representations of Literary Texts, Cambridge University Press, 2006. の翻訳。

 

 
本書の詳細
   
文学研究は何に基づいて行われるのか。モノとしての本か、あるいは情報としてのテキストか。人文学の研究はそもそも何を資料としてきたのか。また、今後は何を資料としていくのか。デジタルの「本」の氾濫は、文学研究の制度、ひいては、人文学研究の制度全体に根本から揺さぶりをかける。「グーグルブック検索」の問題は、たんに作家や出版社といった供給者側の問題にとどまらない。それは 「本」をいかに読むのか、使うのかという読者、利用者、研究者の側の問題でもある。
   
文学、人文諸科学の制度のありようと直結する基盤の世界規模の変容を説き、人文科学の歴史と未来を見据えた本書の記述は 「デジタル化」 を考える際の必読書・基本書たりえる内容となっている 。
   
お知らせ: 『ジャーナリズム』(朝日新聞出版 2009年12月号)に掲載されました!
  『しんくみ』(2009年12月号「書評」123頁)で紹介されました!
  『マガジン航』(2009年10月13日 posted by 仲俣暁生)に掲載されました!
  人文書院HP 福島聡氏のコラム「本屋とコンピュータ」87回で紹介されました!
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  朝日新聞読読書面(10月11日付)に掲載されました!  [評者]小杉泰(京都大学教授・現代イスラーム世界論) 
  東京新聞 書評欄(10月11日付)に掲載されました! [評者]仲俣暁生(文芸評論家)
 
 
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特別寄稿
   
 

『グーテンベルクからグーグルへ』訳者による特別寄稿



明星 聖子(埼玉大学教養学部准教授)


 これは悲しい予言の書です。これからの文学研究は、デジタルの「本」に基づかざるをえない。著者シリングスバーグは明らかにそう語っています。
 いや、そんなことはありえない。仮想空間に浮かぶ幻影を相手にして、研究などできるはずがない。大半の方は、おそらくとっさにそう反論したくなることでしょう。
 でも、本当にそう言い切れるのでしょうか。例えば、目の前のディスプレイに、ある作家の小説の草稿画像が表示されているとします。同時に、机の上には、活字の本になったその小説の一頁が開かれている。では、研究者が研究のために活用するのは、いったいどちらでしょう。

 「オリジナルにあたれ」という言葉を、研究の場でよく耳にします。しかし、このオリジナルとは何でしょうか。例えば、いまの場合、よりオリジナルに近いのはどちらでしょう。編集者が介在して、活字コード化されて整えられた「作品」の載る実物の本でしょうか。それとも、作家の「書く」行為の生々しい痕跡である手書き草稿をそのまま再現したディスプレイ上の画像でしょうか。
 もちろん、いや「本物」のオリジナルと呼んでいいのは、そのどちらでもない、この世に唯一無二のモノとして存在する草稿の紙そのものだと主張することもできるでしょう。
 しかし、そこまでいってしまったとたん、文学研究という制度は一気に難しいところに押し込められてしまいます。はたして、そこまでの「本物」を対象にすることが、文学研究だったのでしょうか。

 資料の問題というのは、お気づきのとおり、学術研究の制度の根幹に関わります。どの資料であれば信頼がおけるのかという問題は、資料に基づいて論を組み立てていく研究そのものの信頼性に直結しているのです。そして、デジタルの時代における資料の信頼性の問題は、文学研究のみならず、いわゆる人文学の広い領域にあてはまります。
 少なくとも、私が属する文学研究の分野では、管見ではありますが、この種の議論はこれまであまり表立ってはおこなわれてきませんでした。いうなれば、そのあたりの了解は、あうんの呼吸で成り立ってきていました。

 あらゆる書物のデジタル化が進むなか、いやおうなく白日の下にさらされていくのは、おそらくその部分です。そして、それは情報テクノロジーの急速な発展が、いつしか無限ともいえる量の画像データを、生産、蓄積、流通可能にしたことと深く関係しています。たしかに、ディスプレイ上に浮かぶ画像は、リアルなモノとしての存在ではありませんが、しかし、リアルなモノとして存在する何かをきわめて忠実に再現しているものだとはいえるのです。
(最近大きな話題となっているグーグル・ブックサーチに関しても、それが画像データを提供しているという点はもっと着目されてしかるべきように思います。)   

 この文章の最初で、私は「悲しい」という形容詞を使いました。これは、あくまで私の主観的な感慨を漏らした言葉であって、本書はけっして未来を悲観的に描いているものではありません。むしろ、非常に複雑で困難な課題に果敢に挑戦して、なんとか希望に満ちた明るい未来へ到達しようと呼びかけるものです。
 それが実現可能であるかどうかはともかくとして、私たちが、この複雑で困難な問題と、早晩直面しなければならないことは確実でしょう。それがいかに困難で複雑なものであるのか。いずれの取り組みも、まずはその認識から、スタートしていくべきように思います。本書はそれを十全に伝えています。    

 
     
著者・訳者略歴
   
 

ピーター・シリングスバーグ
(Peter L. Shillingsburg)

米国ロヨラ大学教授(英文学科)。
2003年から2008年まで英国ド・モンフォール大学教授。
2005年より同大学文献学センター(The Center for Textual Scholarship)長を務めた。
学術版W. M. サッカレー全集編集責任者。
サッカレーを中心とするヴィクトリア朝文学研究に関する主な著作は次のとおり。
Pegasus in Harness: Victorian Publishing and W. M. Thackeray, University of Virginia Press, Fall 1992.
William Makepeace Thackeray: A Literary Life, London: Palgrave Macmillan, 2001.
また本書以外の編集理論書としては以下2点をあげておく。
Scholarly Editing in the Computer Age, 3rd edn. Ann Arbor: University of Michigan Press, 1996.
Resisting Texts: Authority and Submission in Constructions of Meaning, University of Michigan Press, 1998.
その他の詳しい経歴については、次のサイト参照。
http://peter.shillingsburg.net/briefbio.htm

 

明星 聖子
(みょうじょう きよこ)

埼玉大学教養学部准教授
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。
著書に、『新しいカフカ――「編集」が変えるテクスト』(慶應義塾大学出版会、2002年)。本書で日本独文学会賞受賞。訳書に、リッチー・ロバートソン『カフカ』(岩波書店、2008年)、シュテン・ナドルニー『僕の旅』(同学社、1998年)等がある。
    

   

大久保 譲
(おおくぼ ゆずる)

埼玉大学教養学部准教授
東京大学大学院総合文化研究科中退。
主要論文に「新歴史主義に触れる 理論のアフター・ライフ」(『英語青年』2007年)、「塹壕と寝室」(『間文化の言語態』東京大学出版会、2002 年)、「足と手のモダニズム」(『表象のディスクール 3 身体』東京大学出版会、2000年)。訳書に、シオドア・スタージョン『ヴィーナス・プラスX』(国書刊行会、2005年)等がある。
    

    
 

神崎 正英
(かんざき まさひで)

ゼノン・リミテッド・パートナーズ代表。
京都大学文学部卒業。コロンビア大学でMBA取得。
著書に、『プロフェッショナル電子メール』(ハルアンドアーク、1999年)、『ユニバーサルHTML/XHTML』(毎日コミュニケーションズ、2000 年)、『セマンティック・ウェブのための RDF/OWL入門』(森北出版、2004年)、『セオリー・オブ・スタイルシート』(技術評論社編集部・編、2006年)、『セマンティック HTML/XHTML』(毎日コミュニケーションズ、2009年) 等がある。
     
     
 
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