Browse
立ち読み  
編集後記  第65巻8号 2017年8月
 

▼一昔前と比べて、発達障がいが幅広く知られるようになってきました。今や多くの情報誌やインターネットなどでも取り上げられ、「自閉症」や「発達障がい」に関連した記事は珍しいものではなくなりました。そうした影響からか、保護者の方がお子さんの発達を心配なさって「私の子どもは発達障がいでしょうか」と乳幼児健診や発達相談等の場でご相談になる様子もよく目の当たりにします。ただ、現状では、必ずしも正確な情報が知れ渡っているとは限らないようですので、今後も発達障がいに関する啓蒙活動がすすんでいくことが期待されます。一方で、発達障がいは早期発見・早期療育が大切とされていますし、発達障がいの有無にかかわらず、発達の早い段階から保護者の方がお子さんの発達を注意深く観察なさることは望ましいことであるように感じます。

▼それでは、もし子どもが発達障がいかもしれないと感じたり、その疑いがあると告げられたりするときは、どのようにしたらよいのでしょうか。そのままスムーズに療育の機会に恵まれたら良いのですが、療育を受けるまでに長く順番を待たないといけない場合も多いようで、療育の順番が回ってくるまでの間には家でどのようにしていたらよいのか、という不安を耳にすることがあります。また、あまり待たずに療育を受けることができる場合も、二十四時間三百六十五日実施されている療育の場はありませんので、家にいる間はどう過ごしていいのか分からない、という悩みも聞きます。

▼今月号のテーマの一つは「家庭における発達障害の理解と支援」です。毎日の生活を送る中で、発達障がいをもつ子どものことをどのように理解すればいいのか、どのように支援する方法があるか、様々な観点から解説されています。子どもの個性も育児のあり方も実に多様であり、残念ながら、すべての子どもやいかなる場合にも効果をもつような支援のあり方はないのかもしれません。それでも、保護者やご家庭での多様な状況のなかでできうる支援を専門家とともに考えていくことで、少しでも多くのケースに役立つことを願っています。

▼もう一つのテーマは「新学習指導要領が目指すもの」です。学習指導要領は、時代の変化や子どもたちの状況、社会の要請などをもとに、およそ十年ごとに改訂されています。私たちをとりまく社会情勢が刻々と変化していくなかで、これからの時代に求められる資質や能力はどのようなものなのでしょうか。今回の学習指導要領ではアクティブ・ラーニングが注目され、子どもたちが能動的に学び続ける力、授業で学んだことを実生活に結びつけて活かしていく力をいかに育んでいくかが課題とされているようです。新学習指導要領が何を目指しているか、専門家に概略を説明していただきました。

▼今月号を通して、今後の社会のあり方を見据えながら、多様な個性をもつ子どもたちが家庭や学校でどのように発達・学習していくのかを一緒に考えられましたら幸いです。

 

(實藤和佳子)
 
ページトップへ
Copyright (C)2004-2019 Keio University Press Inc. All rights reserved.