● FAQ (Frequently Askd Questions ; よくある質問)

     
 

Q1.教科の指導内容と、自立活動の指導内容

 
  (2014年12月)  
     
 

Q.

 
  病弱と肢体不自由の特別支援学校で、重度の知的障害を併せ有している子どもが多く在籍しています。学習到達度チェックリストを知って、知的の各教科の目標・内容を月齢に沿って連続的に考えれば、教科の学習が難しいと思われていた重度・重複の子どもたちにも実態に応じた国語や算数の視点で授業を組み立てていけるのではと考えるようになりました。
学習到達度チェックリストから、教科の目標・内容(スコア12以上程度)と自立活動で設定する指導目標・内容(スコア12以下)が連続的につながっていると理解したのですが、この考え方は正しいでしょうか。
また、学習指導要領は、教科と自立活動で指導する内容を区別しているとの意見もあり、どう考えていいのか悩んでいます。
 
  (特別支援学校教諭)  
   
 

A.

 
 

この質問は、チェックリストを知ると、最初に出てくる疑問だと考えます。
まず、教科と自立活動で指導する内容ははっきり区別されている、という意見について整理しましょう。

1.「教科(小学校)」と自立活動で指導する内容は区別されている。
小学校の教科と自立活動で指導する内容は区別されています。教科の指導は1年生以上の目標と内容に基づき行います。チェックリストは、小学校の教科の目標にもつながりますが、「教科の視点」で目標(代表的な行動)を整理しているところです。

2.1.の答えも、「知的障害の教科」の発想を含めると、曖昧になってきます。
知的の教科は、小学校の教科では学習が難しい子どものために、容易な目標・内容を整理しているものです。
特に、障害が重度で重複している場合に、教科で指導する内容と、自立活動で指導する内容が区別されているとは明確に言えなくなります。
「○や△を区別する」は、自立活動の指導内容にもなりますし、知的障害の教科の算数の指導内容にもなります。

3.重複の子どもの場合は、知的障害を伴うわけで、教育内容を整理する(教育課程を編成する)場合には、知的の教科を活用することも可能です。

4.そして、知的の教科は、子どもの実態を把握する指標(内容の段階)が粗いので、チェックリストを活用しようという発想です。

5.その背景には、障害が重度な子どもの場合に、多くの教科を自立活動に替えた結果、実際に授業で行われている指導内容は教科なのか自立活動なのか(教育課程上の位置づけ)が混沌としていることを解消しようと考えています。

6.「学習指導要領では小学校の教科と自立活動で指導する内容がはっきりと明確に区別されている」は正しいですが、「学習指導要領では教科(知的障害)と自立活動で指導する内容がはっきり区別されている」となると、間違いと考えます。
過去の教育課程の議論の中で、「知的の教科は1歳以上、それ以下は自立活動でというような、漠然とした話」はありますが、明示されたものではありません。
このような議論は、知的障害教育関係者とその他の障害の関係者で話されたものであり、関係者の都合によるものです。
子どもの学びを考えれば、どこかで線を引くことは間違いであり、「スコア12以上程度」と「スコア12以下)が連続的につながっている」と考えるのが当然で、それを教科の視点で整理した方が分かりやすいのではないかと提案しているところです。

 
  徳永 豊  
   
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